2023年白鵬杯の子ども横綱ハシエルデネ君一家は家畜600頭の遊牧民

モンゴル西部のバヤンホンゴル県からウランバートルに来ていた遊牧民一家に会いました。息子のハシエルデネ君(12歳)は2023年開催の第13回白鵬杯の小学4年生の部で優勝した子ども横綱。1年ぶりに会った彼はさらに大きくなっていて、現在167cm・102kgに。

白鵬杯というのは、宮城野親方が主催する幼稚園から中学生までの子ども相撲大会。学年ごとにトーナメントで競います。わんぱく相撲と大きく違う点はモンゴル以外の海外勢もエントリー可能なことで、昨年はモンゴル、アメリカ、タイ、香港、台湾、オーストラリア、ウクライナの選手が出場しました。

ハシエルデネ君は今年2月12日に両国国技館で行われる第14回白鵬杯に再び出場するため、ウランバートルの学校で他の10人の選手たちと特訓中! 小学5年生の部に出場すると思われ、6年生の部に出場するチルグン君とともに上位成績が期待されます。

1月から単身ウランバートルで練習を頑張る息子に会うため、数日前にバヤンホンゴルからお母さんと妹が車でやって来ました。お母さんから「ハシエルデネの誕生日なんです」と連絡をいただき、私も一緒にご飯を食べました。

ハシエルデネ君一家の家畜は約600頭(内訳はヤギ420、羊150、牛15、馬18)。ラクダのミルクで作ったホールモクという胃に良い飲み物と、ラクダのミルクで作ったワインをお母さんからいただきました。ワインはバヤンホンゴル県の工場で作られていて、地元の名産として売っているそうです。度数は12度、カクテルのように甘いです。

お母さんは「ウランバートルへ来る前はツァガーンサル(今年の旧正月は2月10日)の準備で大忙しだったの。家族総出で3000個のボーズを作ったのよ」と、肉を刻み過ぎて腱鞘炎になったという腕を見せてくれました。機械を使わず肉の塊を手で刻むのは、その方が美味しくなるからだそうです。

最近ウランバートルでは人に会うたび、「今からお母さんとボーズを500個作るんだ」とか「昨日家族でボーズを1500個も作って疲れた」という話題を耳にします。そういえば私が滞在中のアパートの天井からも、深夜2時までめん棒で小麦粉をこねる音がギーコギーコと響いています。

ハシエルデネ君に「日本に行ったら見てみたいものがある?」と尋ねたら、「このアニメのグッズを買える店に行きたい」とリクエストが。「ミニー バータリン ソルゴーリ」……邦題を探していたら「僕のヒーローアカデミア」というアニメを見つけました。モンゴルの小学生に人気らしいです(しかし彼らがどういうルートで見ているのかは謎)。

お母さんが履いていた暖かそうな靴。

来週の白鵬杯にはハシエルデネ君のほか、わんぱく相撲と白鵬杯の常連であるチルグン君、鳥取へ留学中のハシマルガド君、わんぱく相撲に出場したトゥブシンサイハン君もやってきます。彼らにまた会えるのが楽しみです。

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