冬のウランバートルでバスに乗ることの難しさ

「冬のモンゴルはストレスだらけだよ」とウランバートル在住の友人たちが嘆いています。その要因の一つが交通事情。友人と待ち合わせしていたとき、「渋滞がひどくて全然進めない、到着が深夜になっちゃうから今日は会うのをやめよう」とキャンセルになったこともありました。「東京はあんなに人が多いのになぜ渋滞しないんだ!?」とモンゴル人からよく聞かれます。

自家用車を持たない私がウランバートル市内を移動するためには、バスに乗るかタクシーをつかまえるかの2択。しかし夏の時期と違い、どちらも簡単ではないです。

私の場合モンゴル渡航費はすべて自腹なので、500トゥグルク(約22円)で利用できるバスの存在は嬉しいもの。ある夜、最寄りのバス停留所からバスに乗ろうとしました。

路線図を確かめようと、停留所の掲示板を見てビックリ。細かい文字でびっしり書かれていて、乗りたいバスが見つけられないのです。上の写真は昼間に撮ったものですが、夜は電光掲示板になって光り、ますます読めませんでした。「モンゴル人の視力はすごいよ、日本人には無理」と私が友人に言うと、「いや、モンゴル人も読めなくて困ってる」とのこと(笑)。

これより少し前に、新しいウランバートル市長がバス路線内容を突然変更したそうです。「渋滞を緩和するためにバスの路線を短めに区切ったり、市長なりに工夫しようとしたのかも」とは現地の友人の話。しかしその友人によれば、「路線変更の内容が事前に知らされていれば市民も準備できたけれど、朝起きたら突然変わっていたという感じだったから本当に混乱した」。

また、乗るべきバスがわかっても、来たバスが満員で、運転手さんから「次のバスに乗って!」と乗降拒否されたことも何度かありました。

気温はマイナス30度。ある夜は乗りかけたバスを3本見送り、寒くてきつかったので白タクを探して運良くつかまり、救われました。

それから数日後、停留所の掲示板の路線図が見やすくわかりやすいものに変わっていました。市民から多くの苦情が出ていたようです。

路線図問題が解決して安心したのも束の間。

別の日、またバスを待っていたときのこと。なかなか来ないバスがようやく来るたび、人々が我先にと乗降口に向かって走り出します。私も滑らないように気をつけながら走りました。そうしないと「バスに乗る」という競争に勝てないからです。バスによって停車位置が変わるので、日本のように整列して待つ意味はありません。

バスに乗りこむと、運転手さんから「もっと後ろに行って!」と急かされます。もはや日本の埼京線の満員電車と同レベルの混雑度で、前進はほとんど不可能。バスに乗れたのに車内で前進できず、目的地で降りれなかったこともありました(笑)。

混雑したバス車内で私が背負っていたリュックをおろすチャンスを見逃してしまい、そのまま乗っていたときには、背後から「カバンを背負わないで! 私のおなかにあたっているから」と女性の怒る声が。振り向いたら妊娠中の女性で、慌ててリュックを前に抱き直し、彼女に謝りました。

別のあるバス車内では、中央の下車口の周辺にいる女性たちが口にマフラーや袖口を必死にあてていて、ウイルス対策かな?と思いながら見ていました。しかし私が下車口に近づいたとき、そこにホームレスと思われる男性が立っていて、彼の臭いが漂っていたことを知りました。

「冬のモンゴルはストレスだらけ」だと人々が言うと、冒頭で書きました。「そのせいで皆がイライラしていて、お互いを思いやる気持ちが薄れているのが一番辛いよ」という声も聞きます。寒さ、大気汚染の煙、交通事情、たまに起きる停電……。夕方5時半には太陽が沈み、朝8時半まで外は真っ暗。春を早く早くと待ちわびる人々の気持ちがちょっとわかる気がします。

ちなみにバス路線についてはアプリで知ることもできます。私も利用を試みたのですが、使い方が悪いのかあまり正確ではなく、結局アナログ式に掲示板でいちいち確認しています。