技能実習生ニャム君の奮闘記 vol.3 社員旅行へ行く

ニャム君が元気になっていた

技能実習生として2年半前から東京で働くニャム君と、久しぶりに会いました。最後に会ったのは昨年秋。そのときの彼の表情が暗くて気になりましたが、今回は顔が晴れ晴れとしていて安心しました。

ニャム君にとって、大きなストレスになっているのが、同居人の存在です(同じ職場のモンゴル人の先輩たち)。先輩たちはお酒を飲むのが好きで、家にいるとニャム君も勧められ、飲みたくなくても断れないのだと嘆いていました。しかし今では先輩たちとの程よい距離の取り方がわかり、飲まされることもなくなったそうです。

社員旅行を初めて経験

そんなニャム君、先日初めて社員旅行へ行ったのだとか。大型バスを貸し切り、日本人社員もモンゴル人技能実習生も共に、東京を早朝に出発。目的地へ到着するまでの間、車内では早速酒盛りが始まり(日本人社員の主導で)、缶ビールが次々空になるのを見て、ニャム君は衝撃を受けたそう。宿に着いてからも飲み続け、旅行から帰った翌日、ニャム君は二日酔いに苦しんだとのこと。

そのような時間も、後で振り返れば良い思い出になるのでしょうか? 夢を抱いてやってきたニャム君の技能実習制度の3年間は、あと5ヶ月で終了です。きついことが色々あっても、真面目な彼は途中で投げ出さず頑張っています(3年間の途中で「思っていた仕事と違う」と嫌になって辞めてしまう人もいます)。

技能実習生ニャム君の奮闘記 vol.1 彼はなぜ日本で働くのか?

別の女性が技能実習制度で来日

実は先日ニャム君と会ったとき、彼と共通の知り合いのモンゴル人女性(20代)も一緒でした。その女性は、まさに今年4月から、新たに技能実習生として日本へやってきて、物流倉庫で働き始めました。

昨年夏、私がモンゴルで彼女に会ったとき、「技能実習生の説明会をウランバートルで開催していて、話を聞いてみたら良さそうな内容だった」とキラキラした目で話していました。日本語も独学で学び始め、桜の季節に来日することを楽しみにしていました。

しかし実際に仕事が始まると、仕事は予想していたより過酷。冷凍庫のように寒い倉庫のなかで、朝8時から夕方5時まで、重たいものを移動させる肉体労働が続いているそうです。残業も頻繁にあり、朝8時から夜8時まで働く日もありますが、休憩は昼の1時間のみ(それ以外の休憩はなし)。初任給をまだもらっていないため、残業代がつくのかどうかまだわかりません。

「モンゴルの説明会では、そういった仕事内容や残業があることを聞いていなかったの?」と私が尋ねると、「説明会の話では、そんな厳しい条件ではなかった」とのこと。説明した人はモンゴル人で、人材を斡旋する担当者だったのかもしれません。

この話を聞いて心が痛みました。救いがあるのは、彼女が3年間ではなく1年間という、短期間のビザで来日したこと。とはいえ、寒い倉庫で連日重たい荷物を運びつづけ、若い彼女の体が悪くならないか、その前に心が壊れないか、心配です。

説明会では良い条件を伝え、実態は厳しい環境(かつ安い賃金)で労働させるのであれば、技能実習制度は廃止した方が良いと個人的に思います。このテーマについて私はまだきちんと取材したわけではないので、自分が理解していないことも多くあり、数人の体験談を表面的に聞いただけで軽いことは言えないのですが……。知り合いの若者たちの現状を知るにつれ、やるせない気持ちになります。