大草原にアトリエを構え、自由に生きるモンゴル人芸術家と知り合いました

ウランバートルを夕方に出発し、ゾーンモドという地域の草原に着いたのは19時ごろだったと思います。ここに、家もアトリエも自分で手作りして暮らしているアーティストがいるそうです。

向かって左の黒い小さな小屋が、アーティストのガワーさんの住処。右が創作活動を行なっているアトリエです。外にはさまざまな作品が置いてあって、彼の暮らし全てがアート作品になっています。小屋も作品も何もかもが、拾ってきた廃材や、安く買い取ったリサイクル品から作られているとのこと。

左に立っているのがガワーさんです。バヤンホンゴル県出身で画家のザヤサエハン・サンボーさんの幼なじみでもあるガワーさんは、オーストラリアで20年ほど舞台美術の仕事をしていました。しかし舞台美術の仕事ではすべきことをもうやれたと感じ、モンゴルのご両親と時間を過ごすためにも、今年モンゴルへ戻ってきて草原にアトリエを作り、オーストラリアとモンゴルを行き来する二拠点生活を送っているそうです。

アトリエの中を覗いてみると、

使われなくなったバスが2台ありました。1台は改造してキッチンとして使われています。

出来たてのボーズ! 一般的には小麦粉の皮の中に羊のひき肉の餡が入っていますが、このボーズの中には羊の内臓を刻んだものが入っていました。レバーのような感じで、新鮮で美味しかったです。ビールで乾杯!

ガワーさんは「醤油の中でヤマサがナンバーワン! オーストラリアでもモンゴルでも俺はヤマサ!」と熱弁していました。ボースにつけて食べると合うそうです。

草原のど真ん中に動かないバスがいるというのは、不思議な感じでした。

もう1台のバスの中にはベッドや机があります。

ちょっと暗いのですが、これがもう1台のバスの中。

アーロールというチーズが置いてありました。遊牧民からもらったものだそうです。

そばにはガワーさんのご両親が暮らすゲルもあります。

この壁の向こうには、放牧中の羊の群れがいました。どこかの遊牧民の羊です。

感動したのがトイレです。これまで入った草原のトイレの中でダントツに快適でした。中に入って立つとこんな感じで、

地面に穴が掘られ、その上に便座がついています。その便座に座ると、小窓からは外の景色が見えます。こんな風に。。。

夜はあたりが真っ暗になるわけですが、トイレットペーパーが置いてあるところの底に小さなブルーライトが仕掛けてあり手探りしなくてもいいようにしてあったりと、さりげない工夫が色々ありました。このトイレも、もちろんガワーさんの作品。

21時をまわり、太陽が沈みました。ガワーさんの小屋の中には、オーストラリアにいるお子さんたちの肖像画が飾られています。

小屋にはひとつだけ豆電球があり、この電気は10センチメートル四方の太陽光パネルでまかなわれています。ガワーさんがいつもよく聴くというスマホのインターネットラジオ「100 Chill」が流れ始めました。チル系音楽が好きな方にはおすすめのラジオです。

完全に日が暮れたら、頭上には天の川が。驚いたのは人工衛星の数の多さで、3〜4年前に見たときよりもぐっと増えたような? ちなみに点滅しながら動く光は飛行機で、点滅せず一定の速度で動く光は人工衛星。一瞬で消えるのが流れ星です。

夜もふけ、焚き火で羊の胃袋やボーズを炙ったのをつまみながらビールを飲みました。そして街から来た私たちは車を走らせ、余韻に浸りながらウランバートルへ帰りました。