ウランバートル市はオミクロンと大気汚染のダブルパンチ

毎年冬が来るたびに、ウランバートル市で大問題になってきた大気汚染。 今年は流産が増えているという報告もあるようで気になります。

大気汚染が起きる主な原因のひとつは、ゲル地区の人々が暖をとるために練炭を燃やして出る煙が、盆地のウランバートル市内上空にたまるからです。気管支炎になる子どもが増え、中には命を落とすケースも。数年前には、我が子を守るために憤った主婦たちが極寒の広場に集まり、デモをして政府に訴えたこともありました。

長年続くこの問題を解決すべく、2019年3月にモンゴル政府は原炭の使用を全面禁止に決定。その代わり、有害な煙が出にくいセミコークス製の代替燃料が市場に導入され、効果が期待されていました。それ以降、「大気汚染がマシになった」という声も聞きましたが、その一方で、「代替燃料のおかげというより、コロナ禍のロックダウンの影響で車の排気ガスが減ったからだろう」というさめた意見もありました。

2021年は少し改善されたという声もあったのに、今年またひどくなっているそうです。なぜなのか、現地の人に尋ねても「わからない」とのこと。コロナ禍で経済活動が滞り、インフレも重なって市民の家計を圧迫しています。ゲル地区の住民は価格の高い代替燃料(その分長持ちするらしいですが)を買う余裕がなく、安価な練炭を使ってしまうという話もあります。

写真は「News.mn」より

この状況を深刻にとらえたオユンエルデネ首相は1月17日に臨時閣議を開き、自然環境観光大臣と同副大臣ら要職の3人を責任追求のため解任しました。フラストレーションがたまっている市民から苦情が多く出ているのかなと察します。最近Facebook上でも「大気汚染どうにかして!」という声をよく見かけます。

加えて、昨年末に収まりつつあったコロナ陽性者の数が再び急増中。

1月18日は国内で2135人のPCRテスト陽性者が新たに報告されました。モンゴル国の人口は約340万人なので、母数を日本の人口に置き換えてみると7万5000人ぐらいというイメージです。実際の日本国内の1月18日の陽性者数は3万2197人なので、割合で言うとモンゴルのほうが2倍以上多いですね。

モンゴルの2135人の内訳は、ウランバートルが1344人、地方が791人(海外からの持ち込みはなし)。現在療養中の患者は計8210人いて、内訳は軽度2561人、中等度4824人、高度778人、重度47人です。それ以外に自宅療養中の人が3万6229人います。

モンゴルの感染者のうち、8割がオミクロン株とのこと。現地にいる人の声によれば、増加の原因は年末あちこちで開催された新年パーティー。でも、遊ぶのをず〜っと我慢してきて、ようやくコロナが落ち着いてきたからと新年パーティーではじけたくなる気持ちもわかります。感染拡大防止対策として、国民の30%がワクチンの3回目のブースター接種を終え、2%が4回目を終えていますが、これからどうなるでしょう。

2月1日は最大の年中行事「ツァガーンサル(お正月)」がやってきます。しかし今年も派手なお祝いはせず、「家で過ごしましょう」と政府からお達しがありました。なかなか落ち着きませんが、日本にいる私たちとしてはこの夏モンゴルへ行けるかどうかが気になるところですよね……。