5月19日夜19時、渋谷のライブハウス「WWW」は、平日だというのに満員。これからドイツ在住のモンゴル人アーティスト、Enjiのライブが始まるのです。
19時から、ゲストである折笠悠太さんのアコースティック弾き語り演奏がスタート。彼はEnjiの大ファンだそうで、彼女の音楽から大きな影響を受けたはずと語り、今日の出演は夢のよう、とのこと。
20時が過ぎ、いよいよEnjiの登場。長く一緒に演奏しているという、ギタリストのパウル・ブランドルさん、コントラバスのリバー・アドメイトさんとともに。彼女の登場を待ちわびた客席から、わあっとあたたかい拍手が起こり、ミニマムな生演奏にのってEnjiが歌い出しました。
会場にいたのは、300人か、もっと多かったのかもしれません。ぐるっと見回した私は、衝撃を受けました。モンゴル人らしき顔が見当たらないのです。これは非常に驚くべきことでした。
日本でモンゴル人アーティストがライブハウスでライブをする場合、ヒップホップでもロックでも、だいたい観客の9割以上がモンゴル人。日本人はほんのわずか、数人であることがほとんどです。しかしこの日のEnjiのライブでは、その真逆の現象。観客の9割以上が日本人だったと思います。
特筆すべきなのは、彼女がモンゴルの伝統的なオルティンドー(長唄)の技法も使いながら歌い、それが外国人である私たちをすっかり魅了したこと。その歌声がジャズのアレンジとうまくマッチして、私は宇宙へ連れて行ってもらったような感覚になりました。
音楽のライブに行く醍醐味は、生で歌や演奏を聴けることはもちろんですが、アーティストの人柄を五感で感じられることにあると思います。写真で見るEnjiは、モンゴルの田舎から出てきたような、素朴であどけない雰囲気。しかし、舞台の中央に立つ彼女からは貫禄がただよい、観客をリードしていつのまにか大合唱になってしまう一体感を生み出せるリーダーシップと、皆をジョークで笑わせるユーモアもありました。さすが、世界をツアーで巡る人気アーティストだなあ……。
たっぷり歌い上げたあと、客席からの熱い2回のアンコールに2回も応えてくれました。自分の国や民族の個性を思いきり出しながらモンゴル語で歌い、世界各国の人を幸せにするEnji。初めて生で見て、彼女の大ファンになりました。


