年末の銀座でモンゴルのヒップホップライブ!GVNSOR, WOLFIZM, SHUWU, 290, 113, MONK

クリスマス翌日の銀座のクラブでモンゴル人ラッパーたちのライブが開催されました。主催が在日モンゴル人の留学生会というのが、すごい。

出演者はこの6人。若い子に人気のWOLFIZMを生で見てみたかったのと、GVNSORが好きなので行ってきました。

会場は銀座駅からほど近いZOUK TOKYO。開場は22時。15分くらい前に着けば会場前にモンゴルの若者たちがたまっているだろうと思ったのですが、22時間際になっても数人しかいません。

開場を待っていた日本語学校に通う20代前半のモンゴルの若者たち。今年来日したばかり。

22時を過ぎて中へ。写真を撮っていたサンタクロース姿の女の子たちは留学生会のスタッフのようです。

フロアではDJがいい感じの音楽を流していますが、踊っている人がいない……。22時半、23時と時間が過ぎても、人があまり入って来ない……。

私はとりあえずバーカウンターで生ビールをオーダーして様子を見ることに。ドリンク1杯が1,000円以上するので、大のビール党の私でも飲むスピードが自ずとゆっくりに。

1階のフロアが見下ろせる2階のソファに、さっき入口で知り合った若者2人が座っていました。「下のフロアに行かないの?」と聞いたら「ラッパーたちが出てくるまでここにいます」。「何か飲まないの?」と聞いたら「高いので買えません」と苦笑い。朝まで何も飲まないのは辛いので、若者2人のアサヒとトニックを買って3人でカンパイ!

ときどき数人がフロアで踊っているものの、主に留学生会のメンバーのよう。23時半をまわり、終電の時間も間近。主催者ではないのに私がドキドキハラハラしてきました。この中でアーティストたちが歌うのか!?

すでに0時過ぎ。

前座として彼女が登場して歌い、いよいよメインパフォーマンスが始まるようです。

続いて登場した彼女がワムの「ラストクリスマス」を熱唱。

少しずつ人が増えてきて……

トップバッターは113!

若者に人気のラッパーです。

2人目は?

MONK!

このMVの後半に出てきます。

SHUWU! 6人の中で一番初々しい雰囲気ですが、最近モンゴルで人気上昇中の若手ラッパー。

2023年によく聴かれた曲のランキング17位「Uur Hun」。この他にもSHUWUの曲がいくつもランキング100位以内に入っています。

サンタクロース登場、今宵の王子とお姫様をこれから発表するみたいです。

照れながら舞台に立った2人。

290! 飄々。

ここで狼の遠吠えが何度か聴こえ、

WOLFIZM! やっぱりすごい人なんだなあと思ったのは彼が出てきた途端、独特の空気にパッと変わったこと。ゾクッとしました。

WOLFIZMを見ていると、歌う時のリズムの刻み方が似ていてEMINEMを思い出しました。天性のリズムを持っていて、舞台上で動き回る姿に目が釘付けになります。

WOLFIZMが1曲目に歌った「Durtai」はYOUNG MO’Gとのコラボ。中毒性あるリズムが染みついた華奢な身体、がこの2人の共通点。しかし個性は全く違う。モンゴルのヒップホップ界は多彩で面白いなあと改めて実感します。

生で見てみたかったGVNSOR。

彼も印象的でした。細くて姿勢がよく、身体の使い方が独特なのです。

DESANTとGVNSORのコラボ曲。

アーティストが歌い始める頃には観客が100人弱に増えていましたが(おそらく私以外は全員20代のモンゴル人)、その中には留学生会のスタッフも含まれます。会場のキャパからすればもっと集まってほしかったでしょうし、実際にフロア後方はかなり空いていました。

知り合いの20代の女の子は「チケット代が払えないから諦める」と言っていて、ライブのメインターゲットの年齢層の若者にとってチケットがちょっと高かったのかなと勝手に分析(前売6,000円、当日7,000円)。ドリンク代が高いのも、酔ってフロアで踊りまくる人がなかなか現れなかった原因かもしれません。

しかし! いざライブが始まれば、そんなことも忘れてしまうほどの盛り上がりに。入口で知り合った2人の若者も気づけば最前方で舞台にかぶりつき状態。

この日もっとも印象付けられたのは、そういう中でも全力パフォーマンスを見せようとしていた若手ラッパーたちの姿です。目玉の1人であるWOLFIZMはもちろん他の5人もそれぞれが、ソロのときも皆で一緒に歌うときも観客に対してエネルギー全開でした。

最後は全員一緒に歌い、もう終わりのかなと思ったらGVNSORが「ねえ皆、どの歌が聴きたい?」と観客に問いかけてリクエストを何度も募っていました。

音楽やMVを通して見るGVNSORはチャラチャラして狂気的なイメージですが、ファンを楽しませようと必死に動く彼の誠実さを目の当たりに。ライブの醍醐味はアーティストの「本物」を肌で感じられることだとつくづく思った夜でした。6人は数日前に名古屋でもライブを行っていて、これだけ大掛かりなイベントを企画しやりきった留学生会の皆さんたちに大拍手!

翌日仕事がある私は、アーティストのパフォーマンスが終わった2時過ぎにタクシーをぶっ飛ばして「Durtai」を聴きながら帰路についたのでした。

WOLFIZMがライブ後に公開した新曲「Tokyo Freestyle」。