アジア欧州首脳が7月ASEMでモンゴルに集結

イギリスEU離脱のニュースが世界中に衝撃を与えています。イギリスはどこへ向かうのか、初の離脱国を出したEUはここから結束を強められるのか、世界にどれほどの影響が及ぶのか、目が離せません。

奇しくもこのタイミングで、7月15・16日にASEM(アジア欧州会合 Asia-Europe Meeting)がモンゴルの首都ウランバートルで開催されます。

ASEMとは?

ASEMはアジア側参加メンバー21カ国+1機関と、ヨーロッパ側参加メンバー30カ国+1機関で構成され、2年に1回非公式の会合を開いています。

提唱者はシンガポールのゴー首相。1996年バンコクで第1回会合がありました。

ASEMの目的は、アメリカ抜きで、アジアとヨーロッパが対等な立場で(イコール・パートナーシップ)、経済・政治・文化面での協力や自由な対話を強めていこう!というものです。

すでに今月6月10日にはASEM財務省会合が開催され、日本からは麻生財務大臣が出席しました。

7月15・16日のメイン会合ではイギリスのEU離脱が主要テーマになると思われ、安倍首相も出席する方針を固めています。

EUの主要国リーダーたちも揃って出席することになれば、面白いことになりそうです。

モンゴルにとって初めての国際会議ホスト国

モンゴルは、今回の第11回ASEMでホスト国を務めています。

大きな国際会議のホスト国となるのは初めてのことで、1年ほど前から準備が進められてきました。

一番の課題は、ホテル問題!

ASEM期間中は各国から4000人もの訪問者と1000人のジャーナリストがやってくると見込まれ、ハイクラスの外国人訪問者たちを受け入れられるホテルが足りない!と、ホテルのグレードアップ対策がとられてきました。

各ホテルはASEMのために設けられた特別ローンシステムを利用して、ベッドやシーツや食器を買い替えるなど設備メンテナンスをしたり、セキュリティを強化したり、海外から招いた専門家のもとで従業員やシェフのトレーニングをしてきました。

1年前にオープンしたばかりのシャングリラホテルなど高級ホテルはみんなASEMで使用予定のため、この期間中に旅行する方は要注意です。

モンゴル国民は賛否両論

昨年の夏ウランバートルを訪れたとき、モンゴル人たちがASEMについて熱く議論していました。

モンゴル開催について賛成派の意見は、
「モンゴルを世界に広くアピールできるチャンスがついに来て嬉しい!」
「海外のジャーナリストが魅力を発信してくれたら、もっと旅行者が増える」

反対派の意見は、
「1年で最も盛り上がるナーダム祭りと同じ時期にやるなんて、観光産業にとって致命的」
「国の経済がこんなに苦しいのに、国外に見栄をはるためにお金を使うのはバカげている」

ASEM直前の6月29日は4年に一度の国政選挙投票日。おそらく政権交代すると言われています。

選挙、国民の祭典ナーダム(7月11〜13日)、初の国際会議ASEM……。モンゴルはこれらの大イベントを短期間で一気にこなすことになります。

モンゴル政府は各国首脳のために53の新築ハウスを草原に建てた

上の写真は、ウランバートル南部の草原に建てられた2階建て新築ハウスです。昨年10月に現地の友人が撮ってくれたもので、当時はまだ建築中でしたが今は白い外壁のきれいな家に仕上がっています。

ハウスは全部で53戸。これらはなんと、ASEM参加国の首脳たちに宿泊してもらうためのモンゴル政府のおもてなしです。1カ国につき1つのハウスというわけです。

世界のトップリーダーたちが、草原にずらりと一列に並んだハウスで一晩をすごすなんて……!
この大胆な発想には驚きました。

プロジェクトは政府主導で、開発者は国内最大手民間企業のMCS(モンゴル・コンサルティング・サービス)グループです。

果たして7月15日の晩、各国首脳はここに宿泊するのでしょうか?!

夜、密談のために安倍首相がプーチン大統領のハウスをコンコンとノックしたり……。

それを窓から眺めていた習近平国家主席が、そのあとでプーチン大統領のハウスを訪問したり……。

メルケル首相が自分のハウスにEU首脳たちを招いてパーティーを開いても、イギリスは呼ばれていなかったり……。

ついこんな妄想をしてしまいます。

アジアはもちろん、渦中のヨーロッパ首脳陣にはぜひASEMに出席してほしいです。

ちなみにこの屋根(笑)。ASEMで各国首脳がやってくるにあたり、大通りに面した建物の屋根(の大通りにに面した側のみ)をペンキで綺麗に塗った画像です。予算が足りなくて半分しか塗れなかったというウワサでした。