第14回白鵬杯でモンゴルチームは銀メダル1つと銅メダル2つを獲得

2024年2月12日、両国国技館で第14回白鵬杯が開催されました。宮城野親方(元横綱白鵬関)が主催され、幼稚園生から中学生までの選手が学年ごとにトーナメント戦で競う相撲大会です。青年会議所と日本相撲協会が主催するわんぱく相撲全国大会と並び、子ども力士たちにとっての大きな夢の舞台です。

わんぱく相撲全国大会との大きな違いの一つが、白鵬杯は海外からの参加が多いこと。今年は日本の他にモンゴル、アメリカ、オーストラリア、台湾、香港、韓国、タイ、ウクライナ、ブラジルからも参加があり、合計1126名の選手がエントリーしました。

朝9時前から開会式が行われ、その後すぐ小学1年生のトーナメントが始まりました。

国技館中央にあるメイインのA土俵の横にビニールで即席のB土俵とC土俵が作られ、国技館の隣にある相撲教習所(新人の力士が相撲の基本について学ぶ場所)の中にある二つの土俵(D・E)もフルで使用。各学年の選手の試合が一斉にどんどん行なわれていくため、私は5つの土俵を行き来しながらモンゴルチームの行方を見守りました。

C土俵で、初来日したモンゴルチームの小学3年生アルタントルガ・ムンクバヤスガラン君を発見。

試合前に精神を集中している、小学4年生のトゥブシンサイハン君。昨年のわんぱく相撲で代表に選ばれて初来日したときは第2戦で敗退しましたが、二度目の来日となった今大会では予選トーナメントを見事突破! ベスト8に残り、準々決勝に臨みました。

ハッケヨイ……!

のこった! あと一歩でメダルに届きませんでしたが、昨年のわんぱく相撲のときよりぐっと大人っぽく成長した印象でした。

昨年の白鵬杯の小学4年生の部で優勝し、金メダルを持ち帰った小学5年生のハシエルデネ君。バヤンホンゴル県の遊牧民です。

ハシエルデネ君は「これまで緊張したことがほとんどない」そうです。順調に勝ち進んでいきました。

同じく小学5年生のダルハンバートル君。彼のお父さんはモンゴル相撲で強い力士のようです。

中学生の部に出場した宮城野親方の息子さん。

このときは父の顔に。

こちらも父の顔。元琴奨菊関の息子さんが幼稚園の部で優勝しました。

昨年から鳥取西中学校に相撲留学をしている、バヤンホンゴル県の総合生協学校相撲クラブ出身のハシマルガド君。彼は今回、モンゴルではなく鳥取の因幡チームから出場。

日本留学中のアナンド君。お母さんはモンゴル人、お父さんはインド人で、優しい性格の青年です。

笑うと顔からこぼれそうな笑顔になる中学生のゼルメ君。

お兄ちゃんたちの熱戦を見守る幼い子どもたち。

きら星が現れました。小学4年生の部に出場したトゥブシントゥグルドゥル君は、ふだんニコニコして大人しいのに試合になるとすごい気迫を出します。

団体戦の予選を突破し、ベスト8に残ったモンゴルチーム。

団体戦メンバーはトゥブシントゥグルドゥル君、ハシエルデネ君、チルグン君、アナンド君、サンチル君。

ハシマルガド君と同じ鳥取西中学校に留学中のサンチル君

背も高く、強かったです。

わんぱく相撲や白鵬杯の常連となっている小学6年生のチルグン君。個人戦では惜しくもメダルに届きませんでした。

個人戦で上位入賞したのがこの3人。

小学4年生の部で銀メダル! トゥブシントゥグルドゥル君。

小学5年生の部で銅メダル! ハシエルデネ君とダルハンバートル君。

団体戦ではベスト8に残りました。あと1勝でメダル獲得だったので、みんな悔しそうでした。

特別ゲストの元幕下力士、冨栄ドラムさん。中学生の部では、土俵際で審判も務めていました。

新たに就任されたバヤルサイハン駐日モンゴル大使と宮城野親方。

毎年恒例、宮城野親方と宮城野部屋所属の関取たちによる幼児相撲教室がスタート! 昨年は北青鵬関と炎鵬関でしたが、今年は伯桜鵬関と天照鵬関。二人とも鳥取城北高校出身です。

年々出場選手の人数が増えて全員は難しいとのことで、幼児の部で1勝以上勝った選手が相撲教室に参加できました。

ヨイショ!

ヨイショ!

モンゴルチームの選手たちは大会翌日、引率の先生たちと東京ドームの遊園地で遊んだそうです。昨日帰路に着き、すでに無事モンゴルに到着。出迎えたお父さんお母さんと抱き合って、ちょっと遅いお正月を楽しんでいるはずです。

昨年金メダルを、今年は銅メダルを獲得したハシエルデネ君が、個人の試合終了後「ごめんなさい」と謝ってきたのでびっくりしました。今年も優勝するという覚悟で来ていたのだと思います。彼に今の気持ちを聞いてみました。

「結果が今の自分のあり方を示していると思います。もっと練習するにはどうすればいいのか考えています」とのこと。日本式の相撲を指導する先生がモンゴルには数名しかいないため、バヤンホンゴル県の遊牧民である彼は代表に選ばれるたび、ウランバートルに1か月間滞在して練習します。しかし今後はもっと相撲に入れ込んでいきたいという思いがあるそうです。

白鵬杯への出場可能回数が残りわずかな中学生のゼルメ君は、「メダルをとって先生に見せてあげたかったのに、とても悔しいです。また練習を頑張って、将来日本に戻ってきてプロに行きたいです」。選手たちはそれぞれ真剣に思いを巡らせているようでした。

夏にはわんぱく相撲のモンゴル予選大会があり、選ばれた選手は秋にまた来日することになります。誰が来るのか、さらに5年後、10年後に誰が大相撲デビューすることになるのか、楽しみです。

第13回白鵬杯でモンゴル選手が金・銅メダルを獲得! 世界各国から920人が出場