ナーダム前の恒例行事、モンゴル最大の音楽フェスPlaytimeに初参戦したときに私が受けた第一印象は、肌が白くてオシャレで露出度の高い若者がいっぱいーー!
そして7月から8月にかけて、アルハンガイ県で開催されるARA Fest。今年初めて会場を訪れてみて思ったことは、日によく焼けた家族連れがいっぱいーー!
Playtimeには20年ほどの歴史がありますが、ARAは3年前にスタートした新しい音楽フェス。この夏、ウランバートル在住の若い子たちが「今年はPlaytimeじゃなくてARAに行こうかな〜」なんて話すのを聞いたり、「PlaytimeとARAのどちらに満足した?」とFacebook上でアンケートをとっているのを見かけたり、何かと比べられがちな2大フェス。ニューカマーARAとは、一体どんなイベントなのでしょうか?
ARAの名前は、開催地のアルハンガイ県が由来。ウランバートルを出て西へ車で7時間ほどの遠さです。Playtimeと違ってウランバートルから日帰りは不可能なので、キャンプ必須。街を出る前に、大型スーパーマーケットでまずは買い出しから。
私は8人の仲間と2台の車に分かれて出発したのですが、途中で2台が別々の道を走っていることに気づき、「なんか違う方へ行ってない!? エルスン・タサルハイでランチを食べる予定じゃなかった?」「そっちが別の方へ行っちゃったんだよ!」「そっちが誤ったんだよ〜道を知らないならGoogle Mapちゃんと見て走って!」と、いきなり友人たちのピリピリしたやりとり。道中、スマホの電波が1本になったり消えたりして、やがて音信不通に……。初っ端から予定通りに行きません。
モンゴルの田舎ではおなじみ、道路沿いで営業するゲルの食堂。を、牛が占拠(笑)。
ふう、やっと着いた!「アルハンガイ100」と書いてありますが、ここに限らずモンゴル全土で、今年100周年を迎えた郡や県がいくつもあります。今から100年前といえば、ボグド・ハーン政権が幕を閉じ、ソ連の衛星国であるモンゴル人民共和国が始まった時期。歴史を感じます。
煙たいなと思ったら、そばでゴミ焼却中。 あたりは冬のウランバートルのような大気汚染状態で、アルハンガイまで来たのに……と仲間たちも絶句。幸い、翌日から煙は消え、澄んだ草原の空気に戻りました。
会場の背後にゲルキャンプ場があり、お金を払えば泊まれますが、私たちはさらに奥のテント場へ移動してテントを設置。すでに日が暮れていたので、初日は会場に入らずテントで過ごしました。
翌日。こちらが会場の入口付近。
右側のポスターは、私たちが到着した夜に開催されていた女性アーティスト限定のイベント。ARAはなんと1ヶ月にわたり続き、日がわりで音楽のジャンルが変わります。4日間にわたり、複数ステージで多種なアーティストが同時に出演するPlaytimeとは異なり、ARAの舞台はメインステージだけ。シンプルです。
数日前に行われた海外DJのイベント。
モンゴル・カントリー? カントリーミュージックのこと? ラッパーのYoung Mo’Gも出るらしい。
1ヶ月間のスケジュール。25〜26日のHip Hop FestivalにはKAやDeesantの名前が。
青空タトゥー・コーナーではガリンガリン彫っていました。
人もまばらで、まだこれからという感じ。冒頭にも書きましたが、おそらく地元の人と思われる家族連れが多く、服装も雰囲気もPlaytimeに比べてリラックスムード。一緒にいた女友達が「ARAは服装がダサくてもソワソワしなくていいから、楽でいいわ!」と話していましたが同感。
右にいるのは会場で遭遇した友人のイラストレーター、ヨージ。彼の仲間もみんな長髪。
肉を運ぶ人たち。出店者でしょうか?
落とした! 彼らの向こう側にあるテントは有名ビールブランドのセングル。今年のPlaytimeでもARAでもメインスポンサーになっていて、業績が好調なのでしょうか。
というわけで、ARA会場で飲めるアルコールは基本的にセングル一択。この点、Playtimeはビールやカクテルや果実味の韓国焼酎などアルコールの選択肢が多く、フード類もいろいろあって、充実のラインナップでした。
子ども向けの店も。家族連れで来て当然という空気が安心感を誘います。
アート作品がところどころに。
作者不明。
メインステージのあるスタジアム内へ潜入。
デスメタルバンドのARAVT。
デール姿の若者ちらほら。
SOMETHING’S BREWING。
私が訪れた18〜19日はロックの日で、Nisvanisのヴォーカルであるアムガーがプロデューサーから当日のMCまで全面統括。
人気バンドが続々。こちらはRECON。
絶対に逃したくなかったThe Lemons。今年のPlaytimeでは、彼らがメインステージではなくコカコーラ提供のステージで演奏し(コカコーラ広告に出演中のため)、お客さんが多すぎて何も見ることができなかったのですが、ARAではバッチリ見られました。
みんなThe Lemonsが大好き! 明るい気持ちにさせてくれる本当に素敵なバンドです。
このあとはThe Royal Heartacheで、ドラムはThe Lemonsのウージギーが続投。The Royal Heartacheのベーシストのオユカは、昨年までThe Lemonsで代打ベーシストとして活動していたので(今年からオリジナルメンバーのアムラと交代)、ふたつのバンドのメンバーが舞台上でスイッチする際にアイコンタクトで微笑み合い、なんかいいなあと思いました。
芝生のうえで酔い潰れる人も……。
熱くなる人も……。
ゴミも……。
ルフィーも……。
おなかがすいて徘徊。
真夏とはいえ、寒い夜の身にしみるゴリルタイシュル(肉うどん)。
いちばん見たかったNisvanis(ニスヴァニス)。時間がおして深夜3時でしたが、寝ないでよかった! すごくよかった! The Lemonsヴォーカルのオドノーとも公私で仲の良いアムガー兄貴率いる、モンゴルの王道ロックバンドです。歌はロックでパンクですが、アムガーの温かい人柄が滲み出ていて感動。心が興奮状態に!
このあともうひとつバンドが続きましたが、The LemonsとNisvanisを見られたのでもう大満足。友人たちとテントへ戻って就寝……。
<つづく>



