ノモンハン旅1/片道1,300km、ノモンハンへ出発

2019年8月、モンゴル政府とモンゴル写真家協会が主催した「Mongolia Today 2019」というプロジェクトに参加させていただきました。

世界6カ国(モンゴル、ロシア、中国、トルコ、日本、韓国)から主に新聞社・通信社所属のフォトジャーナリストが集まり、モンゴルを撮影しながら一緒に旅するというものです。目的は、モンゴルの魅力を伝える写真を撮り、それを自国のメディアで発信して、世界中でモンゴルに関心を持つ人々を増やすこと。

「Mongolia Today」は2018年に始まったプロジェクトで、そのときは日本から共同通信所属の写真家の方が参加されていました。しかし2019年は新聞社・通信社の方々のスケジュールがあわず、友人を介して写真家ではない私が恐れ多くもお声がけいただき、目的地がノモンハンだと聞いてぜひ参加したいと思いました。遅ればせながら、そのときのレポートを書きます。

ちなみにノモンハン事件とは、1939年に勃発した日本にとって日露戦争後初めての近代戦争。日本の傀儡だった満州国と、ソ連の傀儡だったモンゴルが、モンゴル東北部のハルハ河付近で衝突しました。日本では「事件」と名づけられ、教科書でもほとんど取り上げられていないので印象が薄いですが、実際は日本もソ連も万単位で死傷者を出した大惨事でした。この敗戦の影響で日本軍は北方を攻めるのをやめ、南方へ進軍する作戦に切り替え、その後の第二次世界大戦へとつながっていきました。現代の日本ではあまり知られていなくても、モンゴルではよく知られています。

モンゴル行きが決まったのは7月後半。8月初旬に出発するMIATモンゴル航空の直行便は満席だったので、ソウル経由のチケットをとりました。

この飛行機は韓国の航空会社なのでマップに「Dokdo」と書いてあります。独島、つまり日本の竹島のことです。

仁川国際空港で乗り換えました。これは空港内を移動する電車のホームですが、今になって見ると、現在大ヒット中の韓国ドラマ「イカゲーム」で登場したメンコシーンを思い出します。

空港内に書店発見! 私は書籍編集者をしているため、海外の書店はとても気になります。

本をどう陳列しているのか、何が売れ筋か、などをチェック! この書店では円形の棚に並べられていましたが、モンゴルの書店の場合、高く積んだ本の背表紙がジャバラのようにずらして置かれていたりします。どちらも日本であまり見たことがない置き方です。

空港で時間をつぶしている間に、財布が消えてしまいました……。学生だった頃ウランバートルでスリに3回あったことがあります(当時はマンホールチルドレンが多かった)。でもまさか韓国で現金もカードもなくすとは思いませんでした。どこでどうなくしたのか心当たりがありません。

モンゴル到着! 今となっては懐かしの旧チンギスハン国際空港。出迎えに来たモンゴル人がずらっと立っているのは、出国手続き後のおなじみの光景でしたよね。

今回私を空港まで迎えに来てくれたのは、モンゴル滞在中だった絵本作家のボロルマーさんとガンバータルさん。優しい、大好きな友人です。

飛行機が遅れて深夜に到着し、ガンバーの運転でホテルまで送ってもらいました。私はふだん友人の家に泊まったりアパートを借りることが多いのですが、「Mongolia Today 2019」の期間中は滞在ホテルが決められています。初日はここでした。

年季の入った大きな部屋です。翌朝窓から外を見たら目の前に遊園地が。

朝ごはんは洋式のビッフェ。

朝食をとった後、バスに乗って移動。どこに行くのか、今日何をするのか、何も知りません。

市内を歩く人たちを見たり、うるさいクラクションの音を聞くと、モンゴルに来たんだなあと実感します。

命がけの道路横断。

着いたのは、スフバータル広場のそばのトゥーシンタワー。今からレセプションがあるらしく、お揃いのTシャツが配られて着るように言われました。

メディアも集まり記者会見がスタート。一番左がモンゴル写真家協会のリーダーである写真家のバトバータルさんです。

トルコから来たエミンがメディアの取材を受けています。彼は鳥を撮影することを専門にして世界中を飛び回っているフォトグラファーで、インスタのフォロワーが30万人いるインフルエンサーです。

この方が誰かはわからないのですが、赤いファッションが目立っていました。

スフバータル広場へ移動。

正面の国会議事堂前に、巨大なチンギスハン像があります。

どこからともなく、デールを着飾った方々があらわれました。

花嫁さんも!

あっちこっちで記念撮影が。

様々なお祝いのグループが入り混じっています。広場に行くと頻繁に目にする場面ですよね。

第二次世界大戦の後、日本人抑留者が苦労しながら建築に携わったオペラ劇場。広場の隣にあります。

昼食をとるため、次はザイサンの丘へ移動。目の前に商業施設ができていて、レストランやゲームセンターや映画館などが入っていました。

ちょっと寒いくらい涼しかったザイサンの丘。このモニュメントには、ソ連とモンゴルという兄弟国が共に手を取り合って敵国(日本)と戦い、勝利したぞ!というストーリーをあらわした絵が描かれています。私は日本人なので、見ると少し複雑な気持ちに。

頂上から眺めるウランバートル市内。訪れるたびに高い建物が増えていきますね。奥に細々と見えるのは拡張し続けるゲル地区。ここには高いビルはなく、ゲルや自分で作った低い建物に住んでいます。

丘を降りて、バスを待っているところ。

エミンと同じくトルコから来た、フォトジャーナリストのフィラット。もともと戦場カメラマンとして中東などの戦地へ通っており、今はトルコに暮らしながら英紙「ガーディアン」などに寄稿しています。

バスの窓から見かけた若いカップル、手をつないで可愛い!

モンゴルと仲の良い北朝鮮の大使館。

以上が初日前半の話です。「このあとサプライズがあるから」とモンゴル人の写真家マグナイさんに言われ、バスで市内を走り続けました。

<以下へつづく>

ウランバートル上空をヘリコプターで飛ぶ