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ファームドゥの半電半農 ”ソーラーファーム”

Mongolian Economy(2017年4月発行)に掲載

 

ファームドゥ株式会社の岩井雅之社長は、日本の農業に流通革命をもたらし、農家の所得向上に貢献してきたパイオニアです。その岩井社長がいまモンゴルで20億円以上を投資し、「ソーラーファーム」プロジェクトに取り組んでいます。岩井社長はモンゴルにどのような可能性を見ているのでしょうか? 

モンゴルが秘める可能性

日本では一般的に、農家がつくった野菜を農協(JA)という組織が集め、値段を決めています。農家に生まれ、両親が苦労して育てた野菜が安く買いたたかれてしまう光景を見ていた岩井社長は、農家が農協を通さずに自分で好きな値段をつけて販売できる直売所を都会中心に34店舗開いてきました。

さらに、農場に太陽光パネルを設置して農業と売電ビジネスを両立する「半電半農」というビジネスモデルを生み出し、特許を取得。この結果、農家の収入増に貢献でき、都会の消費者は直売所で新鮮な野菜を買えるようになりました。

岩井社長が友人の誘いでモンゴルを初めて訪れたのは2009年。
「ウランバートルで売られる牛乳の値段が高いことに驚いたものの、同じ牛乳でも郊外で買うと安かったんです」。街だと高くなる理由は加工と流通の仕組みがないためで、野菜も同じ状況でした。街で売られていた野菜は中国産の古いものが多く、「高くてもいいから安全で新鮮なモンゴル産の野菜を買いたい」という人々の声を聞いた岩井社長は、2013年にBRIDGE LLCと合弁会社EverydayFarmLLCを設立しました。

岩井社長は農場をつくるために40カ所の土地を見学し、ウランバートル北西39kmのモンナランの土地を約28ヘクタール購入しました。国道沿いで交通アクセスが良く、都心にも近いことが魅力でした。

「ウランバートルに100万人以上の人が暮らす限り、それだけの食べ物が必ず必要になる。私たちはそれをどう供給するのかという問題を解決すればいいだけなんです。国の経済状況がいくら悪くても、人々が毎日生活していることに変わりはないので、私は気になりません」

太陽光+二酸化炭素+農業のビジネス

モンナラン農場では、3つの段階を経てビジネスを進める計画だそうです。

もっとも重要なのが第一段階で、太陽光の売電ビジネスを成功させること。
現在は、太陽光パネルとウランバートルへつながる送電線を建設中です。2016年7月にモンゴル政府と売電契約を締結済みで、2017年8月から実際に売電ビジネスが稼働する予定。最終的には年間18,030MWhを発電する見込みです。

第二段階は、太陽光発電によって二酸化炭素排出量の削減に貢献し、日本の環境省から設備補助を得ること。「昨年モンゴル政府と売電契約を結べたことで、日本とモンゴルの二国間クレジット制度(JCM)を活用したモデル事業に採択されました。今年8月にモンゴルから売電収入をいただくことが、このプロジェクトにとって重要な第1歩。結んだ約束が守られれば、第2の投資も今後考えていけます」と岩井社長は話します。

これらのビジネスが軌道に乗った後、第三段階の野菜栽培を2019年から本格的に始めたいそうです。

モンナラン農場は3つのエリアに分かれています。
1つ目が太陽光パネルが並ぶエリアで、通路の空間にはリンゴなどの木も植えます。2つ目が、太陽光パネルを並べ、パネルの下にある空間でジャガイモなどの作物を育てるエリア。3つ目が太陽光パネルを屋根につけたビニールハウスが建ち並ぶエリアで、通常の期間より長く野菜がとれます。「将来はICT技術を使って栽培環境をコントロールした植物工場も併設して、屋内で1年中休まず野菜を収穫できるようにしたい」と言います。

5つの井戸もつくり、日本製の有機肥料を使って、すでにキュウリやレタスなど数種類の野菜を収穫しました。モンゴルの気候ならではの課題もあり、研究を続けているそうです。「人間に家があるように、厳しい気候のもとでは野菜にも家が必要。良い設備を増やしていくためにも、まず売電ビジネスがうまくいくことが大事なんです」

今後のビジョン

日本モンゴル間で二国間クレジット制度が2013年に結ばれました。「モンゴル政府が環境ビジネスを優遇するために関税や消費税を下げてくれたことが、外国人投資家である私にとって非常にありがたかったです」と岩井社長はモンゴル政府に感謝を述べます。

採れた野菜は、Everydayスーパーマーケットで販売されています。「今後もっと品質を上げ、日本でとれるような甘くて美味しいイチゴもモンゴルで提供したい。将来的にはウランバートルに直売所を作り、野菜はもちろん、ジャムのような加工品も販売したいですね」

この「ソーラーファーム」モデルがモンゴルの他地域にも普及すれば、新たに雇用が生まれ、農業技術が根づいてモンゴル農業の発展につながる。現在も3人のモンゴル人社員が日本で農業研修を受けており、さらにこの先にはロシアなど他の国へもこのモデルの輸出をしたいと言います。

「モンゴルとビジネスを行うときに一番大事なのは人間関係だと思います。私の会社は大企業ではありませんので、モンゴル国の人口が少ないことは問題になりません。人々の暮らしがある限り、そこにビジネスは必ず生まれるからです」

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