アジアスーパーグリッドはどうなった?

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アジアスーパーグリッドは実現する?

2011年3月11日の東北大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故後、ソフトバンクグループ代表の孫正義氏が提唱したアジアスーパーグリッド(ASG)構想。日本・モンゴル・中国・韓国・ロシアなど各国を送電網(グリッド)で結び、ゴビ砂漠の豊かな自然エネルギー資源を共有するという壮大なアイデアだ。実現できるのか懐疑的な見方が多いなかで、この約8年間、地道な前進を続けている。

具体的に目に見える一歩となったのは、クリーン・エナジー・アジア社(ソフトバンクグループのSBエナジーとモンゴルのNewcomグループの合弁会社)が、2017年10月にゴビ砂漠でツィツィー・ウインド・ファーム(50MW)を運営開始したことだ。本件は、JICAによる自然エネルギー分野で初の海外投融資によるドル建てプロジェクトファイナンス案件でもある。

SBエナジー株式会社代表取締役社長 兼 ソフトバンクグループ株式会社 CEOプロジェクト室の三輪茂基氏は、昨年11月開催のインベストモンゴリア東京にて、「ゴビにはまだ追加で200MW、300MWを作ることが可能だと思っています。500MWサイズも可能かもしれません」と語った。ソフトバンクは再エネ開発のため、ゴビ地域において3,670平方キロメートルの土地の使用権を獲得している。東京都の約1.6倍にあたるこの土地には、15GWを超える風力・太陽光発電のポテンシャルがあるとのことだ。かつて再生可能エネルギーはコストが高いというイメージが一般的だったが、近年は機器の性能向上と低価格が実現してきており、ASG構想は経済的にも技術的にも、もはや夢物語ではないのだという。

  

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参加5カ国で積極性が低いのは

モンゴルビジネス協議会(BCM)会長 兼 地域エネルギー協力における大統領特使を務めるビャンバサイハン・バヤンジャルガル氏は、「2019年、モンゴルはASG構想への参加を強化し、ASG推進に関する多数の地域会議を主催する意向です。モンゴルはまた、ASGのパートナーシップおよびプロジェクトへの政府ならびに民間企業の参加を奨励します」と話す。このようにモンゴル政府は官民一体でプロジェクトを全面サポートする姿勢を示している。さらに中国、ロシア、韓国も政府レベルもしくは国営の電力会社がASG構想に賛同するまでに至っている。

エネルギーの相互接続に関して、5カ国中で最も慎重になっているのが日本だ。たしかに安全保障面を考えれば、政治的に難しい関係にある国々と生命線でもあるグリッドをつなぐことに抵抗を感じるのも無理はない。

ところが最近その風向きが少し変わりつつある。昨年7月に政府が発表した最新版のエネルギー基本計画で、エネルギー相互接続の有効性について初めて言及があったのだ。日本列島では大型の地震や台風被害が増えており、昨年は北海道大停電も起きた。安定して電力を確保するための新たな選択肢の一つとして、相互接続を前向きに検討すべき段階に入ったのだろうか。……

記事全文はこちら➡️ デファクトガゼット新聞(2019.3.11)