Backstage vol.3_みんぱくイベント本番!「口承文芸から現代史、そしてヒップホップへ」

リハを終えて大阪3日目、「口承文芸から現代史、そしてヒップホップへ 〜モンゴルの韻踏み文化」イベント当日。

朝のうちに皆さんのホテルへお迎えに行き、みんぱくへ。昼食をとってから、控室でアーティストたちが準備を始めました。

メイクをするGennie。

Gennieとは今回日本で初めて会ったのですが、間に共通の友人(ミュージックビデオを作る仕事をしている青年)がいて、以前から「Gennieは良い子だよ」と聞いていました。実際に知り合ってみて、その通り、一生懸命でひたむきな女性でした。たくましくもあり、脆くもあり。「モンゴル女性ラッパーの第一人者」と言われる彼女は、後から彼女より若い女性ラッパーがどんどん世に出てくるなかで、自ら曲を生み出すアーティストとしてもがきながら自分らしい光を探しているように見えます。

そして開演時間に。

島村一平先生の講演。

モンゴルのシャーマニズムとヒップホップを結びつけて考察するいう、とんでもない興味深い内容。「創作のアイデアが急に湧いてくる」「精霊が降りてくる」というお話、面白いですよね。

昨年春のみんぱくの特別展「邂逅する写真たち 〜モンゴルの100年前と今」もそうでしたが、モンゴルのアーティストたちを日本へ招聘してこのようなダイナミックな企画を次々と実現させてしまう島村先生のパワーを心から尊敬します。ビザなどの問題も含め、舞台裏ではスムーズに進むことばかりではなく相当大変なはず。。。その特別展のとき、島村先生が作られた図録も素敵です。本のつくりが凝っていて、モンゴルの魅力をこう伝えたいという思いが伝わってきます。

休憩を挟んで、モンゴル人アーティストたちのパフォーマンスの時間に。

トップバッターは俳優・演出家・歌手のソソルバラムさん。

歌声が心に響いて沁みました。

私がとくに好きなのは「Jamaas」という曲。ソソルさんが作られ、彼の友人である八代亜紀さんも歌っていらっしゃいます。今回この曲を生で聞き、人生を芸術に賭けてこられたソソルバラムさんのさまざまな苦悩や喜びが伝わってくる気がして、こみあげるものがありました。

ソソルさんについて個人的に忘れられないエピソードがあります。私はソソルさんとは5年くらい前に東京で初めてお会いしました。画家のザヤサイハンさんとソソルさんと通訳者の大束さんが食事される場に参加させていただいたのです。その帰りに皆さんと道を歩いていたら、駅前で日本人青年のストリート・ミュージシャンがギター片手に歌っていました。するとソソルさんが立ちどまってしばらく聴き入り、青年が手売りしていた2千円くらいのCDをさっと手にとって購入したのです。モンゴルでは大御所の立場であるソソルバラムさんが、無名の日本人の若者のCDを……。

そのときのことを今回ソソルさんにお尋ねしたら、アーティストとして生きることは簡単ではないから道で歌っていた青年を応援したかった、と仰っていました。

このあとはGennieの登場。

ロングヘアーのウィッグをつけたGennie。

3つの新曲、すごく良かったです。YouTubeで見られるようなミュージックビデオも制作したいと彼女が言っていたので私も待ち望んでいます。

Gennieの曲は、聞いているとなんかドキドキしますね。それも彼女の才能。

満足そうな表情。「こうして日本へ来て、みんぱくで歌う機会をいただいて本当にありがとうございました」と最後に述べて出番を終えました。

最後はDESANT。ヒット曲「4.12」のイントロが流れると客席のど真ん中から歩いて舞台へ。お客さんたちが振り返りびっくり。

後ろで流れているのは「4.12」のミュージックビデオ。島村先生が仰っていたように、人口300万人あまりのモンゴルで再生回数636万回ってスゴイですよね。

さらに「Broda」。人気ラッパーJasonとのコラボ曲です。

「風のように風になろう」と歌う「Salhilay」では客席に「全員携帯のライトをつけて一緒に振って!」と呼びかけて、お客さんたちが続々と立ち上がりました。

このあと休憩を挟んで、トークセッションへ突入。

進行は島村先生、通訳は大束さんです。

この前の夜、ソソルバラムさんとDESANTと大束さんと私で食事しました。その後大束さんとソソルさんとDESANTはさらに部屋で語り合っていたようです。私は翌朝締め切りの原稿仕事がありご一緒できず残念無念だったのですが、何をお話していたのでしょうか。

対談中、笑うソソルさんとGennie。

GennieとDESANTによる即興ラップの時間もあり、和気藹々で進んでいきました。

イベントも終盤。

拍手!!

お客さんがお帰りになったあとで記念撮影。右から2番目の方は、前日にDESANTとGennieを取材されていたフォトグラファーの田中敦子さんです。

終演後すぐにソソルバラムさんは在徳島モンゴル国名誉領事館の方々と一緒に次のお仕事へ。大束さんも別のお仕事で東京へ戻られました。

夜、屋上から近くの花火大会を見ました。長時間にわたる本格的な打ち上げ花火。みんな誰を想って見ていたのでしょうか。

このあと島村先生に率いられて私たちは居酒屋で打ち上げ。翌日は万博記念公園にある高〜い観覧車に乗り、お好み焼き店で大阪最後の食事をしました。

これにて大阪の旅は終了。

いざ東京へ!

<つづく>