「Forbes JAPAN」記事に登場したモンゴルのヒップホップ曲

Forbes JAPANの「ラッパーも続々来日、なぜモンゴルではヒップホップが人気を集めているのか?」という記事で私も取材していただきました。ライターの中村正人さん、どうもありがとうございました。

読んでくれた友人から「坂本龍一のラストエンペラーの曲を聴いてみたい」と言われたので、この記事に関連する曲のMVをここに載せます。

まずは記事の冒頭で紹介されているアメリカ在住モンゴル人アーティストMekh Zakhqの「Life goes on」。島村一平先生によるみんぱく特別展のモンゴル・ヒップホップコーナーで流れていたそうです。

モンゴル、内モンゴル、ロシアのブリヤート共和国など国境を越えて暮らすモンゴル人ラッパーたちが一つの曲を作ったという「TOONOT」。開始5分30秒あたりからBig GeeとDESANTが登場します。

こちらがTATAR(タタール)の「Hairiig hundel(他人の愛に敬意を)」(冒頭30秒ぐらい、別のメロディが入っています)。私が学生のときにウランバートルの飲食店で偶然耳にし、ワッと熱くなった曲です。2000年代前半の曲なので古いのですが、名曲なので現代の若者もよく知っています。

3日前に出たばかりのTATARの新曲。「Hairiig hundel」と全然違う。。。MVの作り方に時代を感じますね!

DESANTの「Salhilay(風になろう)」。大阪のみんぱくでも東京のライブでも歌った曲。この歌の前にDESANTは必ず「みんなスマホのライトをつけて手に持ってね!」とお客さんに呼びかけます。曲にあわせてみんながスマホを揺らすのでライブ会場が星空のようになりました。

数ヶ月前にモンゴルのスフバートル広場でDESANTたちが屋外ライブをしたときは、数千人(もしかしたら万単位?)のお客さんがスマホのライトをつけたので、映像で見ていても宇宙のなかにいるようでした。

人気ラッパーのBabar(バーバル)とJason(ジェイソン)とDESANTの「Jimbirghini(ジンビルギーニ)」。80年代に流行ったものについて歌っています。ライブでは歌の前にMCで「今20代の人!」(ハーイ)「今30代の人!」(ハーイ)「今40代の人!」(ハーイ)「今50代の人!」(ハーイ)「今60代の人!」……とDESANTが呼びかけるのが恒例です。腕をブンブンとゆっくり回す楽しい振りつけもあって、駆けつけたモンゴル人の関取たちも嬉しそうに踊っていました。

こちらもBabarとJasonとのコラボ曲「Broda(兄弟)」。私はこの曲を絵本作家のボロルマーから最初に教えてもらいました。大切な友人との友情を歌っています。

DESANTの「Black team」。ブラックチームというモンゴルのスポーツカーのチームとのタイアップ曲。ライブで前奏が流れたとき、会場の空気がぐっと引き締まってゾクゾクしました。

ちなみにこちらは今の20代半ばの若手ラッパーYoung Mo’G(ヤングモジー)による「Black team」。

「Garaad ir naiz mini(ガラード イル ナイズ ミニ)」。「家から出ておいでよ!」と友達に呼びかける、聞くと明るく優しい気持ちになる曲で私は最近ヘビーローテーションしています。DESANTの「陽」のエネルギーがあふれる曲だと思います。

Gennieがライブで歌った素晴らしい新曲たちも載せたいのですが、YouTubeにクリップがまだありません。出来上がったらここに載せます!

つづいてForbesの記事の最後に登場したYoung Mo’G。「Naadii(ナーディー)」はモンゴルでブームになった曲で、先日のシャーマン・フェスティバルにもゲストで呼ばれて歌っていました。今年のナーダムの予行演習がすでに始まっているのですが、そのなかで若者たちがこの曲のようなダンスをしている場面があったので、Young Mo’Gが本番で歌うのかも!?

Young Mo’Gの「Mongol Swag(モンゴルスワッグ)」。モンゴル民族を鼓舞するような内容を歌っています。

Young Mo’Gの「Still(スティール)」。彼はきれいな英語を話しますが、インスタライブで語っていたところによれば「洋画を見て学んだ」とのこと。同じインスタライブの中で「休みはあるの?」という視聴者の質問に対して「ないよ、常に働いているよ」と答えていたのが印象に残っています。とくに若者の間ですでに大人気の彼ですが、ストイックに表現を追求して今後さらに人気が上がっていくのだろうと思います。そしてさまざまな海外アーティストとのコラボレーションも視野にあるのではないでしょうか。今年5月に来日したときも一人だけ日本に長く滞在し、在日オーストラリア人DJアーティストのRHYMEと曲を作ったり、そのMVを渋谷で撮影したりと精力的に動いていました。

Young Mo’Gの「Khanen Molko」。

Young Mo’Gの「Mercury」。彼は恋愛の曲も歌うし、モンゴル人の伝統や誇りも歌うし、リズム感がすごくてステージも引き込まれます。マッチョなラッパーが多いモンゴルでは珍しく華奢な雰囲気ですが、強い意志と独特のセンスが光る魅力的なラッパーです。

Young Mo’GとKAのコラボ「Tuukh(歴史)」。かつてチンギスハーンの一族が身内で仲間割れをして帝国が壊れてしまったように、現代のモンゴルも国内の仲間同士で足を引っ張り合ったり分断したりしている……。過去の間違いを繰り返すな、というメッセージです。曲の最後にKAがさまざまなモンゴル人の名前を呼びかけているのは、モンゴルでよくある名前であり、かつKAの身近な仲間の名前だそうです。

KAの「Respest your soul」。夜空にまたたく星を眺めながら、この世界に生まれた自分の人生(そして誰かの人生)を愛しく思いたくなる曲。

KAの「Memento Mori(メメントモリ)」。KAに、自分の曲のなかでどれが一番好きかと聞いたら「全部」と即答。「曲作りは仕事ではなく趣味」と言い、普段忙しいなかでもバリバリと新曲を発表し続けています。この曲に出てくる写真を撮っているのはKAの友人である写真家インジーナーシ。昨年5月にみんぱくで開催された「日本モンゴル外交関係樹立50周年記念特別展・邂逅する写真たち―モンゴルの100年前と今」では彼の写真がたくさん展示されました。

KAの「Memento Mori」に登場するロングヘアーの男性は、SOMETHING’S BREWINGというバンドのギタリストです。この写真は私が先月ウランバートルのロックフェスを見に行ったときに撮ったもの。ちなみに中央で座っているボーカルの男性、バトトルガ元大統領の息子さんです。確かに体格がなんか似ているような?

KAの新曲がまた! Poundとのコラボです。