あけましておめでとうございます! 新年2日目の朝、東京は気温2度で寒いですが、モンゴルはマイナス30度……。日本はまだマシだと自分に言い聞かせています。
さてモンゴルでは、年末に大統領と首相から国民へ挨拶が行われました。昨年首相を辞め、新たに大統領の座についたフレルスフ大統領と、オユンエルデネ首相のメッセージを転載します。急いでざっくり和訳した粗い内容なので、間違いや意味不明箇所が多々あるはずです。なんとなくこういうことを言っていたという程度の雰囲気で、ご覧いただければ幸いです。
フレルスフ大統領からのメッセージ
「親愛なるモンゴルの兄弟姉妹の皆さま、新年あけましておめでとうございます。すべてのご家族の皆さまに、幸せと健康をお祈り申し上げます。
私たちモンゴル人は年の変わり目に、前年の成果と過ちを評価し、新年の計画について話し合うという良い伝統を持っています。
今年は、(遊牧民族の匈奴などによる)新国家設立から2230周年、大モンゴル国家設立から815周年、国家の自由と独立の回復から110周年、人民革命100周年、モンゴルの国連加盟60周年、モンゴル人の最初の宇宙飛行から40周年など、多くの歴史的な記念にあたる年です。
2021年は6万6000人の新生児が誕生し、モンゴルの人口は340万人に達しました。人が増えれば必要な食料も増えると言われますが、牧畜民や農家の皆さんの努力のおかげで、良質な家畜が6800万頭に達し、直近30年間で最高の成長率となった良い年でした。
パンデミックの影響により、モンゴル経済は2020年に4.5%縮小しましたが、2021年最初の9か月間の官民パートナーシップ協力の結果、3.6%成長し、30万人の雇用を守ることができました。私たちの富の創造者の努力が、この経済成長において果たしてきた重要な役割に注目することは喜ばしいことです。
さらに2021年は、我が国のアスリートや学生の皆さんがさまざまな世界大会に参加し、素晴らしい成果を残して私たちを喜ばせてくれました。東京で開催された第32回夏季オリンピック、第16回パラリンピックでは、モンゴル人アスリートが金、銀、銅メダルを獲得しました。
我が国の未来そのものである子供たちは、知的オリンピックとして知られる国際オリンピックの歴史の中で最も多くのメダルを獲得し、世界107カ国中11位にランクされました。またモンゴル史上初めて、女性アスリートがウエイトリフティングの世界チャンピオンになり、モンゴル女性の驚異的な能力を世界に示す素晴らしい瞬間でした。
2021年は多くの良いことがありましたが、世界中がなお疫病に苦しみ、人類は依然として多くの課題に直面しています。人々が尊重しあい、環境を愛し、お互いを理解し、団結と人生の価値を大切にすることの重要性をより意識した年でもありました。
この困難な時期を最小限の被害に抑えて克服し、国民の生命と健康を守るために、国民、政府、企業は国の経済を回復するためにすべてのリソースを動員しました。我が国の経済を守るためには、将来的に大きな変革を起こす必要があります。これに関連して、福祉から労働へ、鉱業から加工へ、そして輸入から輸出へと移行するための抜本的な改革が緊急に必要とされています。
これらの目標を実行することにより、モンゴルは今後30年間で、社会経済開発、生活の質、人間開発の面で、アジアをリードする国の1つになる可能性があります。
モンゴル人が祖国の主なのであり、天然資源の恩恵を平等に享受する必要があります。モンゴル人の天然資源を他人に取られるということは決してありません。オユトルゴイ・プロジェクトのメリットは、我々にとってさらに大きくなります。これはモンゴルの人々の団結と献身の結果です。
2022年は私たちモンゴル人にとって復活の年になるでしょう。来年はチンギスハン生誕860周年を迎えます。今年は、勇敢な平和維持軍、人々の健康を守る医師・看護師・医療従事者、人々の安全を確保するために働く憲兵の存在があります。国の大統領から、特別なお祝いと深い感謝を申し上げます。国民の皆さま、新年あけましておめでとうございます」
オユンエルデネ首相からのメッセージ
「年の変わり目に就任宣誓を行った国境警備隊、医師・看護師などの医療従事者、警察、国家公務員の皆さんに、国民を代表して感謝を申し上げます。
モンゴル国民にとって、2021年は疫病との闘いという困難が続いた年でした。パンデミックにより5.3%縮小した経済は、2021年末までに3.4%成長しました。健康を守り、経済を活性化するための包括的な10兆計画の結果として、市民と企業は徐々にシンプルなライフスタイルに移行し、学校の教室では新学期が開始されました。
新しいスコアは制限なしで満たされました。これはすべて、予防接種の迅速な組織化とすべての市民の積極的な参加がもたらした真の結果です。新しい復興政策の採用により、モンゴルは新年の初日から6種類の復興政策を実施する準備ができています。
モンゴル経済は鉱業のみに依存しており、国家予算は石炭、1つの国の燃料、1つの港からのみの輸入に依存するという厳しい現実をさらに感じました。世界保健機関(WHO)と銀行および金融機関は、パンデミック、価格の上昇、およびオミクロンウイルスの蔓延による消費財の不足が新年の主要課題であると、引き続き指摘しています。
我々モンゴル人が、この課題から抜け出すことのできる唯一の方法は、急速な経済成長です。復興政策の一環として、オユトルゴイ地下採掘プロジェクトが来年開始するというチャンスがあります。オユトルゴイ合意の結果、220億ドルの将来の債務が解消され、プロジェクトに対するモンゴルの34%の株式が無料になりました。
ビジョン2050では、長期的な政策実施のための基本条件が整っています。私たちはパンデミックから経済を救うことができると確信しています。モンゴル国家安全保障会議のメンバーは、同じように開発政策を検討するために協力します。
来たる2022年にはコロナに打ち勝って、経済を復活させ、通常の生活に戻ることができると信じています。あけましておめでとうございます」
個人的に面白いと感じたのは、フレルスフ大統領が「2022年は新国家設立から2230周年」と触れているところです。紀元前208年頃に匈奴などの遊牧民族が国家を興したことだと思いますが、チンギスハンによる大帝国のみならず、匈奴まで遡って誇るのがモンゴルらしいと感じました。
大統領と首相がともにオユトルゴイについて語っているのも、このテーマに対する国民の関心の高さをあらわしていて興味深いです。モンゴルは日本以上に、コロナの影響で国民も企業も経済的に逼迫していると現地の人々から聞くので、オユトルゴイが現実的な希望となることを必死に国民へ訴えているように聞こえます。
また、各国が北京オリンピックの外交ボイコット問題で揺れる最中、オユンエルデネ首相は出席するというニュースが新年早々に流れました。世界中が米中対立の構造によって分断されていく中、これまでは米中の間でバランスよく立ち回ってきたモンゴルが、今後は中国とロシア側へ寄っていくことになるのかも注目点だと思います。
オユンエルデネ首相は昨年夏の東京オリンピックにも出席していました。