日本相撲協会引退後の「白鵬杯」の行方はどうなる?

1月20日、赤坂で「第16回世界相撲大会 白鵬杯」の記者会見が行われ、私も参加しました。白鵬翔さんが相撲協会を出られてから初めての開催となる白鵬杯なので、メディアの注目も高いようです。

定刻通り13時に会見が始まり、白鵬さんが登場。白鵬さんは相撲協会を出て、自身で起業された会社の代表を務められています。白鵬さんにとっての夢は、相撲がオリンピックの正式種目に入ること。相撲を世界でより人気のスポーツにするため、白鵬杯を通じて貢献したいそうです。

このあと、白鵬杯の運営に長く関わられ、柏少年相撲団の指導者である永井明慶先生から、今大会について説明が。第16回白鵬杯は「多世代、男女、国際化」がキーワードです。これまでの白鵬杯と大きく変わる点は、

・「女子の部(小・中学生)」が新設される

・「成人の部(高校・大学・社会人)」が新設される(ただし日本国内ランキング上位者のみが出場可能)

・大会の終盤、世界の相撲選手によるエキシビジョンマッチが開催される

・両国国技館ではなく豊洲のTOYOTA ARENA TOKYOで開催される

個人的に感じるのは、よりエンタメ色が強まるのだろうということ。TOYOTA ARENA TOKYOは、新しい相撲の聖地となるべく、白鵬さんの友人であるトヨタ会長の豊田章男さんが作ったアリーナ。NBAのバスケ会場のように会場の中央上部に電光掲示板もあり、両国国技館ではできない華やかな演出も可能となります。

両国国技館を出たことで、女子の部も正式に行えるようになりました(アマチュアの世界では、相撲の女子選手は以前から存在します)。世界の相撲選手によるエキシビジョンマッチでは、まわしをしめず、各国の相撲の衣装を着用するのかもしれません。伝統からどんどん逸脱するのではないかという懸念もあるかもしれませんが、白鵬さんがこの日話していた「型にはまって型から出る」とどう体現するのか、楽しみでもあります。

また、相撲の世界選手権女子中量級(73キロ未満)で2024年に金メダルを獲得した長谷川理央選手(慶應大学4年生)、慶大相撲部監督で日本相撲連盟常務理事の奈良文彦さんがゲストに呼ばれ、3人の対談も行われました。

興味惹かれたのは「ゾーン」の話。白鵬さんは現役時代、映像で見ると一瞬の動きでもスローモーションに見えていたそうです。一方、長谷川さんは立ちあいのとき、後ろから客観的に自分を眺めているような感覚になるそうです。

白鵬さんによれば、「ゾーンは人間の防御反応として起きるものだと、ある研究が発表している。つまり人間は死ぬかもしれない危機的な状況でゾーン状態になりやすいらしい。私自身は現役時代、可愛がっていただいた元横綱・大鵬関から、『大関は負けても下がることができるが、横綱は先がない、辞めるしかない』と言われ、ヒヤリとした覚えがあります。ですから現役の横綱だったときは常に危機感を持ち、死ぬかもしれないという気持ちでやっていたので、ゾーンに陥ったのかもしれません」

記者会見終了後、以前は相撲記者クラブで白鵬さんと頻繁に会えていたという記者の方々が白鵬さんをふたたび取り囲み、「懐かしい」と話していました。すかさず相撲に関する質問が飛び交います。

「照ノ富士関の断髪式には行かれますか?(行くよ)」

「炎鵬さんとは連絡をとりましたか?(先日とったよ、彼の性格もよくわかってるから。あと3番だと思うと固くなるから、あと3回で終わるって考えてって)」

「弟子の皆さんの四股名変更について、伊勢ヶ濱親方から事前に連絡はあったんですか?(昨年12月に電話をもらいました)」

「今年の白鵬杯は福祉大相撲と日程が重なりますが、例年のように関取たちは来場しますか?(福祉大相撲が終わったら来るんじゃないかな)」。

各社が出した記事は、会見のどこをどう切りとるのか、出しも内容もそれぞれ違います。

スポニチ「白鵬氏「新たなスター誕生が見られれば」新設の白鵬杯「成人の部」には男女の国内トップ選手が参戦予定」

サンスポ「白鵬氏、生涯現役宣言「意外と体はできています。ダイエットしようと思ったけど、やめます」白鵬杯でまわし姿を披露へ」

日本経済新聞「白鵬翔さん「スター誕生期待」 元横綱、白鵬杯2月に開催」

第16回白鵬杯は2月7日(男子の部)、8日(女子の部、成人の部)にTOYOTA ARENA TOKYOで開催。どなたでも無料で入場できます。

10年前から毎年白鵬杯を取材してきた私にとって、何より嬉しいのは、白鵬さんが相撲協会を引退したあとも白鵬杯がつづくこと。モンゴルで大相撲を夢見て練習に励む子どもたちにとって、白鵬杯が開催されるか否かは死活問題です。大会当日のようすは、このサイトでもまたご報告します!