技能実習生ニャム君の奮闘記 vol.2 人間関係に悩む

以前このブログで、技能実習生として東京で働き始めた青年ニャム君のことを書きました。あれから2年近くが過ぎ、彼のその後の話です。

技能実習生ニャム君の奮闘記 vol.1 彼はなぜ日本で働くのか?

技能実習生として一番苦労したことは?

希望を抱いて日本へやってきたニャム君が入社したのは、都内にある建設関係の中小企業。

業務は、屋内で単純作業をする日もあれば、屋外で建設関連の作業をする日もあるそうです。昨年も今年の夏も、酷暑のなかでの屋外作業が続いて真っ黒に焼け、滝のような汗をかいて体重が落ち、見た目がかなりスッキリしていました。

この2年の間、何度か彼と会って話を聞きましたが、業務自体は単純作業がメインなのでそこまで大変ではないそう。苦労したのが人間関係で、半年前に会ったときは、悩んで思いつめているような暗い表情でした。

逃れられない人間関係の難しさ

てっきり、職場の日本人と上手くいっていないのかと思いましたが、そうではありませんでした。そもそも職場では、業務指示以外の会話がないので、日本人との人間関係は特に問題ではないそうです。

そうではなく、彼のストレスになっていたのは、ルームメイトの存在でした。ニャム君は、6〜8人のモンゴル人とひとつのアパート(社宅)に同居しています(メンバーの出入りがたまにある)。1人ずつ、ベッド付きの個室があり、バス・トイレは共同。全員が同じ会社で働く技能実習生です。

そのルームメイトのなかに、年上のモンゴル人男性がいました。彼は大の酒好きで、家で酒盛りをするたび、ニャム君も飲むよう強要されるのだそうです。その量が多く、酒が弱いわけではない彼もさすがに辛くなり、なんとかして家を出たいとまで考えるようになっていました。

ところが最近、その先輩が技能実習生の任期を終えて帰国。おかげでストレスが消えて、ぐっと楽になったそうです。ニャム君の表情に笑顔が戻り、私もほっとしました。

ちなみにニャム君の日本語の能力は、来日直後とそれほど変わっていないように思えます。というのも、職場で使う専門用語は決まっていて、家でもモンゴル語で会話するためです。これは他の技能実習生にも言えることです(例外もあるとも思うのですが)。

出稼ぎ先はどの国がいい?

先日、我が家に、韓国で出稼ぎ中のレズビアンの女の子が遊びに来ました。彼女はソウルの食肉加工工場で働いて1年目ですが、けっこうお金が貯まるそうで、日本で好きなロックバンドのレアTシャツやCDを買って大喜びしていました。韓国には6万人くらいの出稼ぎモンゴル人がいて、ソウルの道を歩いていると頻繁にモンゴル語を耳にするそうです。

一方、日本で技能実習生や建設現場の日雇い労働をする若者たちは、なかなかお金が貯められないと嘆きます。税金の額の違いなのか、物価高のせいなのか、今はよくわからないのですが……。モンゴル人の会話を聞いていると、「出稼ぎ先は、日本よりオーストラリアや韓国が良いよ」という話がちらほら。

さて、苦手な先輩の問題が解決したニャム君。彼の技能実習生期間、残り1年1カ月!

<つづく>