デモ開始からちょうど1週間が経った日、広場に奇妙な人びとが現れました。

広場の平和通り側(国会議事堂の反対側)に、昨日までなかった人だかりができていたのです。国会議事堂前で若者が行なっている「オクツロホ・アマルハン」デモとは違うグループのよう。こちらはマイクを握る男性も垂れ幕を持つ人たちも、年齢層が高めです。

マイクを握る男性は、「向こうの若者たちのデモは混み合っているから、明日からはこっちのデモに参加した方が良いよ!」と聴衆に語りかけていました。

謎の新しいグループが気になりますが、国会議事堂前の若者たちのデモの方へやってきました。

なんと、こちらにも異変が。若者たちの目の前に、黒い大きな垂れ幕を持って立ちはだかる集団がいたのです。

非常に不可思議……。

しかし若者たちは何事もなかったかのように冷静でした。

連日マイクを握る、オラムサイハンさん。

熱心に彼を見つめる参加者たち。

この謎の人たちは、写真を撮ろうとすると「やめて」と嫌がり、顔をふせました。座っている若者たちとの距離はわずか1メートルほどで、圧迫感があります。

「金をもらって、若者のデモを妨害するために招集された人たちだ」と私の友人は怒っていましたが、真相はわかりません。

その翌日。謎の人びとは、あっさりと消えていました。一体何だったのでしょうか?

5月のウランバートルはまだ涼しく、長時間石畳の上に座るのは楽ではないそうです。

私の友人たちもデモに連日参加していて、ブックフェスティバルで買ったばかりの新刊小説を座りながら読んだり、家から持ってきた熱いコーヒーを時々飲んだりと、それぞれ好きなように時間を過ごしていました。

終盤になると、強烈な西陽がさします。

デモを妨害する人びとに対し、若者たちは、真っ向から戦ったり排除することをしませんでした。今回のデモは、SNSでタイムテーブルを予め知らせて、日が暮れる前の夜8時にピタッと終わり、非常に秩序だっていることと、暴力的になることなく平和な態度を貫いていることが印象的でした。
(続く)