5月13日深夜、ウランバートルに到着しました。渡航目的は、ブックフェスティバルに出店することと、共同通信で執筆する記事の取材のためでした。

空港まで車で迎えにきてくれた友人たちと、24時間営業チェーン店「シュルンドゥ」へ。オレンジ色の看板が目印で、ウランバートル市内にいくつも店舗があり人気です。私の好きなホイツァイは、野菜と肉団子と羊肉と春雨の具が入って、八角のきいた熱いスープ。南モンゴル(内モンゴル)の料理だそうです。
さて、就寝前にFacebookを眺めていると、「みんな、明日広場へ行こうよ!」と呼びかけている女の子の投稿を見かけました。
翌日、写真家集団ガンマエージェンシーのオフィスへ行くと、写真家のエルベーさんが「俺はシャネルのバッグなんて持ってないけどさ!」とビール片手にべらんめえ口調で話していて、Facebook上でもモンゴル人たちがバッグに関する投稿を多くしているので、なんだか妙な感じがしてきました。
すると「今日、広場で昼からデモがあるらしい」という情報を聞き、カメラを持ってすぐ広場へ。

道中、日本の食材やお菓子を販売している新しい店を発見。

ゆっくり見られなかったのですが、日本食が好きな人にとっては嬉しいですね!

となりに、おしゃれなブックカフェも。

いよいよ広場へ。

バッグに貼られた紙に「ОГЦРОХ АМАРХАН(オクツロホ アマルハン)」とあります。直訳すると「辞めるのは簡単」。これが、この日から始まったデモの重要なキーフレーズとなります。

広場の地面に「ЗГ ОГЦОР!」と書かれていました。「ЗГ」は「Засгийн Газар」の頭文字をとった略語、「政府」という意味です。

赤ちゃんを連れた若いお母さんも。全体的に20代の若者が多い印象です。

座っている人びとにマイクを持って語りかける青年がいました。話が終わった後、すかさずメディアが彼にインタビュー。
顔を見て、ノーロクという独立系メディアの創設者オラムサイハン・オトゴンさんだとすぐわかりました。ノーロクは20代の若者たちを中心にしたグループで、2024年のモンゴル国政選挙の舞台裏を撮影したドキュメンタリー映画を制作するプロジェクトに取り組んでいたところ、突然警察が彼らのオフィスに入ってきてパソコンや携帯を没収するという事件が数ヶ月前にありました。そのせいで映画制作を続けられなくなり、Facebook上でも話題になっていたのです。
「ノーロクは今回のデモの直接的な発起人ではない」とノーロクの別のメンバーの方から聞きましたが、この日から始まる連日のデモにおいて、オラムサイハン・オトゴンさんがリーダー的な立場として活躍することになります。

広場ではカメラマンの友人知人に何人も遭遇しました。この時点で、デモが起きた理由を私はまだ知りませんでした。
(続く)