先週ひょんなことから、ウランバートルにあるゲイバーと、ゲイやレズビアンばかりが来るというディスコに行きました。その日私はシャーマンの女の子と2人でビールを飲んでいたのですが、彼女の別の友人2人が途中で合流し、そのうち1人がゲイの男の子でした。その日はプライドウィークの真っ最中。ゲイの男の子が「このあとゲイバーに行こうー!」と熱心に誘うので、みんなでタクシーに相乗りし移動したのです。
行き先はモンゴルでよく知られたゲイバー。オーナーはモンゴル人のゾリグさんと日本人のタカシさんという公私共にパートナーであるおふたり。居心地のいい空間で、タカシさんが作るココナツミルクのチキンカレーが美味でした。お客さんがたくさん入っていたのもおふたりの人柄ゆえなんだろうなーと思いました。
ここでしばらく飲んでいたら、ゲイの男の子が「ゲイのディスコに行こう!」と熱心に誘うので、すでに深夜1時過ぎでしたが再びタクシーで移動。そのディスコはフロアにポールダンスの棒が数本立ち並び、照明など店内の雰囲気はどこか昭和チック。一緒にいたゲイの男の子はそこで元カレに次々と遭遇しては「やだ……どうしよう!」と戸惑う素振りを見せつつも、一人ずつと再会の抱擁を交わしていました(そして恋が再燃するのかも……)。
昨年から今年にかけて、私はモンゴルでゲイの方たちと立て続けに知り合いました。たとえば昨年の夏、オシャレな友人に「金曜日夜に若い子が集まってゲーム大会をするから一緒に来る?」と誘われて行った先がLGBTの若者が集うカフェバーでした。場所はフーフディン・ゾーン(ソウル通りにある若者に人気の遊び場)です。
若者たちは5つのグループに分かれて、缶ビール片手にクイズ大会に興じていました。最高得点をとって優勝したのが彼女たち!
彼女たちがレズビアンなのかどうかはわかりませんが、この日集まっていた若者のなかにはLGBTの子がけっこういたみたいです。あるゲイの子に話を聞いたら「ここに来れば仲間がいるから安心できる」と言っていました。
カフェバーのオーナーは気さくで爽やかな青年。1階はカフェバー&コワーキングスペースになっていて、地下では彼が持つ洋服ブランドのデザインをしています。ちなみに彼の背後の壁に書かれているのは店の銀行口座で、「冷蔵庫にあるビールを飲んだ人は代金をこの口座へ振り込んでね!」というシステムです。
地下の作業場。
みんな顔見知りらしく、気心知れた仲間たちという感じでした。
こちらは今年7月にPLAYTIMEで出会った相思相愛のゲイカップル。衣装は手作りしたそうです。ふたりはカップルであることを堂々と公表していますが、他のゲイの人たちから話を聞くうちに、モンゴルで彼らが肩身の狭い思いをしていると知りました。
冒頭で書いたゲイバーへ向かうため、タクシーに乗り込もうとしていたときのこと。
一緒にいたゲイの男の子が急にマスクを取り出し顔をすっぽり覆いながら、「お願いがあるんだけど、外にいるときに 『ゲイ』って言葉を絶対口にしないでね?」と私に念押ししました。なぜかと聞くと、「モンゴルではLGBTに対する風当たりが強いから、もし私がゲイだってわかると見知らぬ人からいきなり殴られたりするの」。
フーフディン・ゾーンのカフェバーで出会ったゲイの青年は、「この店に来ればゲイである素の自分を出せるけど、僕はお母さんにゲイであることをカミングアウトできないで隠し続けているのが辛い。モンゴルの男性はマッチョイズムを求められることが多くて、外見も内面も男らしくあれというプレッシャーを感じながら生きている。ゲイであることが受け入れられにくい社会だと思うよ」と嘆いていました。だからこそLGBTの人が集うコミュニティの存在が、彼らにとってなくてはならない救いの場になっているようです。