わんぱく相撲全国大会2023でモンゴルチーム6年生のチムグン君が銅メダル!

リハーサル翌日の7月30日、わんぱく相撲全国大会が両国国技館で開催されました。選手たちは早朝7時に国技館に集合し、開会式を経て、4年生からトーナメント形式で試合が始まりました。私は2016年以降、忘れ物をとりに行った飲み屋さんでの偶然の縁がきっかけでモンゴルチームのへっぽこ通訳とアテンドをしています。

4年生で初出場のナンディンフー君(ウムヌゴビ県)は大会当日の朝、モンゴル相撲の大きなブーツと帽子をかぶって、両国駅のホテルから国技館までやってきました。しかし1回戦で岐阜県の大きな選手とあたり、負けてしまいました。

続いて初出場の5年生トゥブシンサイハン君(ウランバートル)。彼も1回戦で負けてしまいました。

試合後は悔しくて泣いていたナンディンフー君でしたが、しばらくすると涙も止まりました。彼に普段モンゴル相撲を指導しているツェレンバータル・ガンゾリグ先生が、今年のわんぱく相撲モンゴルチームの引率者です。

元気になったナンディンフー君。

こちらはモンゴルの青年会議所のメンバー。彼らがわんぱく相撲モンゴル大会を開催し、代表選手の子どもたちを連れて日本へ来ます。

お土産売り場。

昼休み、ウムヌゴビ県から来た先生とナンディンフー君がTシャツを選んでいました。

国技館の外にモンゴル料理のブースが! 日暮里にあるモンゴル料理店「イフ・モンゴル」が出店していたので、ボーズとツォイバンを買ってモンゴルのみなさんに差し入れました。在日モンゴル人たちに、都内にあるモンゴル料理店でどこが一番好きかと尋ねると「イフ・モンゴル」を挙げる人が一番多いです。モンゴル料理店では珍しく、南モンゴル(内モンゴル)ではなくモンゴル国の人たちがやっているお店です。それにしても外は暑いーー! このとき36度。

あ、ボーズではなくブーズ、ツォイバンではなくツイワンと書いてありますね!

力士が試合前に準備をする支度部屋の入り口。わんぱく相撲の選手たちも、自分の試合の前後はここにやってきます。

支度部屋を出ると大相撲でおなじみの花道があり、ここを歩いて土俵へ向かいます。

6年生チムグン君(ウランバートル)は、予選のトーナメント戦を軽く通過。どの試合もあっけなく勝っていきました。

体は大きく、性格はシャイなチムグン君。今年2月に両国国技館で開催された白鵬杯のときと同様、チムグン君の希望で今回もモンゴルからお父さんとお母さんが一緒に来日しました。

予選を通過してベスト8に選ばれた4〜6年生の選手たちによる土俵入りの儀式。子どもたちの土俵入りは、今年のわんぱく相撲全国大会から初めて導入された取り組みです。

YouTubeでライブ中継され、解説席には大島親方(元旭天鵬関)や女子レスリング銅メダリストの浜口京子さんの姿が。

熱戦が続く土俵上。地方大会を勝ち上がって東京へやってきた選手たちの気合は毎年ものすごいものがあります。枡席から親たちの必死の声援が送られるなか、負けてしまうとその場で泣いてしまう子もけっこういます。それでも試合後にしっかりお辞儀をして、「ありがとうございました!」と目を真っ赤にしながら去っていく姿を見ると、純粋でいいなあと感動します。

いよいよ決勝戦。各学年のベスト8に残った子どもたちが一堂に土俵前に集まり、準々決勝、準決勝が行われます。

選手入場の花道の横で、愛息子にエールを送るお父さんとお母さん。二人はウランバートルで雑貨店を経営していましたが、最近それをやめて貿易など他のビジネスをしています。

ナンディンフー君を1回戦で破った岐阜の選手。大きい……! ちなみに彼はこのあと4年生の部で優勝するのですが、モンゴルのコーチたっての希望で「なぜそんなに大きな体になったのですか?」とお母さんに伺ったところ、毎食3合のご飯を食べているのだそうです! 毎日ではなく毎食です、さすがですねえ。

チムグン君は準決勝で勝ったかと思われましたが審判団の異議申し立てがあり、とり直しに。そして残念ながら負けてしまい銅メダルとなりました。とはいえ昨年のわんぱく相撲ではベスト8の「小結」、今年はその一つ上の「関脇」の成績を残したので素晴らしいです。

2023年のわんぱく横綱たち。大きい!

わんぱく大関たち。日本人もモンゴル人も、毎年わんぱく相撲全国大会に出場する選手は入賞する確率も高いです。

準決勝で負けたわんぱく関脇は各学年に2人ずついます。左から4年生、5年生、6年生。

左から2番目にいるオゴデイさんが、今年のわんぱく相撲モンゴルチームの責任者。日本語が堪能なので試合中は通訳としても活躍し、子どもたちをしっかりサポートする愛情深いリーダーでした。モンゴルの青年会議所メンバーのわんぱく相撲担当者たちは、当然ながらこの大会のために来日していますが、日本の青年会議所メンバーと交流することも重要な目的です。

わんぱく相撲全国大会を主催した青年会議所メンバーの打ち上げの席。外国勢のモンゴルチームとウクライナチームも招待され、参加しました。

選手たちが1人一言ずつ挨拶をすることに。

初来日した先生は「両国国技館がとても立派な建物で圧倒されました。今回初めて日本へ来るチャンスをいただけて嬉しいです」と挨拶。

すっかり疲れ果てた子どもたちは早めの就寝。翌々日、モンゴルへ帰国しました。

大会中、チムグン君には強豪の中学校からスカウトの話も。しかし本人は「どうしよう」とパニックになってしまい、ひとまず保留に。過去にわんぱく相撲に出場したモンゴルの選手たちのなかには、その後相撲留学をしてプロの道を目指す子もいれば、相撲をパタリとやめて他の格闘技を頑張っている子もいます。何かのきっかけでサッとスカウトされて留学が決まる子もいれば、日本で相撲を学びたいけれどそのチャンスをなかなか掴めず心が折れてしまう子もいます。今回やってきた3人の子どもたちがこれからどのような道を選び歩いていくのか、見守っていきたいです。