ウランバートルのアパート暮らしの一コマ

今回の旅では、田舎へ行かないときはウランバートル市内のアパートに滞在しています。友人のお母さんのお家で、「お母さんが夏の避暑地で過ごしている間ここに住んでいいよ」と言っていただきました。本当にありがたい限りです。

ロシア式の重厚感ある直方体の建物で、似たような見た目の集合住宅がウランバートル中心部にはたくさんあります。団地内には遊具のある公園があり、キッチンの窓からその公園が見え、モンゴル人の日常が垣間見えて面白いです。向かい側の山肌にはゲル地区も見えます。

キッチンには冷蔵庫のほかに、大型の冷凍庫も! ここに冷凍した肉の塊や袋詰めのボーズなどがびっしり詰め込んであります。

アパートの出入り口にあるのは鉄の重たい扉。ちょうどペンキを塗り替えた直後で、下にもペンキが飛び散りまくっていますが、誰も気にしてません(笑)。

扉はオートロック式になっていて、鍵をかざすとロックが開きます。入るとこんな感じです。

同じ位置から、入ってきた扉の方を見たらこうなります。

島村一平先生著の『ヒップホップ・モンゴリア』によれば、社会主義時代のモンゴルにおいて、この空間(オルツ)は、「党の許可なしで自由に音楽を奏でることができる唯一の公共空間だった。そこは公的空間が監視下にあった社会主義時代において、唯一、自由な ”ストリート的空間” であったといっていい。そんなオルツでモンゴルのサブカルチャーは産声を上げることになる。」

80年代ごろから、この空間に腰かけてギターを弾き語りする若者たちが出てきたそうです。そして国の統制をくぐり抜け、ここからポピュラー音楽が生まれていったそうです。そのことをこの本で知ってからは、この空間を通るたびに感慨深い気持ちになります。

最初の階段を登るとエレベーターがあります。

古いロシア式アパートのエレベーターはどこも狭いです。中に入ると、

一昨日まで「長さ1メートルの長方形ピザ」の広告がこの格子の部分に貼ってあったのですが、取れてしまったのか昨日は床に落ちており、今日になったらなくなっていました。

さて、ある日の早朝。公園にはまだ誰もいませんが、何やら男性たちの騒ぎ声が聞こえたので、キッチンの窓から覗いてみると……?

アパートのごみ収集場をホームレスの人たちが物色していました。この人たちは、アパート敷地内にある低い木の木陰を住処にしています。

ちなみにアパート暮らしで出たゴミは、階段の踊り場にあるこの穴から投げ入れると1階にあるゴミ収集場まで落下していきます。分別は不要だそうです。いちいち1階まで捨てに行かなくていいという意味では便利ですが、この穴にゴミを入れることすら面倒がる人もいるらしく、床には誰かのゴミがいつも置いてありました。

一方外の公園では、午前中は誰も遊んでいません。昼を過ぎてようやく子どもたちの姿が見えるようになるのですが、最も多くの子が集まり賑やかになる時間のピークは、なんと夜7〜9時! 緯度が高いモンゴルの夏は夜遅くまで外が明るいです。

深夜11時半ごろになっても普通に公園で遊んでいます。さすがに小学生はいないようですが、中高校生くらいの子がバスケをプレーしながらワイワイ。

冬は寒すぎて外では遊べないモンゴルの子たちにとって、夏の間は日が暮れるまで目一杯遊ぶぞ〜!という感じなのでしょうか?