ノモンハン旅6/モンゴルの草原をロシア戦車隊が堂々と進む、という違和感

翌朝チンギス市を出たミニバスは、さらに東へと走ります。馬を乗せたトラックに追い越されました。

2時間走って、草原の休憩タイム。

手際よくガスコンロでお湯をわかし、インスタントコーヒーや紅茶を作って飲みます。

何か動物を見つけたらしい、ロシアとトルコの写真家たち。バスの座席に置いていたカメラを急いで持ち出し、シャッターチャンスを狙っています。

ふたたび出発し、フルンボイルと書かれた標識を発見。ノモンハン事件の現場に近づいています。

走っていたバスが急に停止したので、また虹が出たのかと思いきや、目の前に現れたのは戦車。続々と道路から草原に運ばれてきます。戦闘用のホンモノです。

その数、数十台。

草原に縦列駐車し、中から兵士が出てきました。

モンゴルの写真家たちは戦車に近づき、兵士に話しかけました。ロシア語です。

それによれば、もうすぐモンゴルでハルハ河戦争(ノモンハン事件)80周年を祝う式典が開催されるので、準備のためロシア軍がモンゴルへ来ているとのこと。兵士のなかにはヨーロッパ系の顔の兵士とアジア系の顔の兵士が混在していました。

こんなふうに戦車の上に乗って撮影してもOKでしたが、「女性はダメだよ」と言われました。

ノモンハン事件で闘った若い日本兵たちは、こんな頑強な戦車に向かって火炎瓶を手に持ち突進したんですね。

戦車を見物に来ていた通りすがりのモンゴル人家族に、印象的な女の子がいました。偶然見つけた彼女を撮影したこちらの1枚が今回の旅の私のベストショットです。

ロシア軍からチョコレートをもらったという、モンゴル人の韓国語通訳の女の子。

用意された観光客用施設ではなく、こういう偶然の出会いこそが旅の醍醐味であり面白さだとつくづく思います。

ロシア軍の戦車がモンゴルの草原を堂々と進んでいるなんて、冷静に考えたらおかしなことです。日本が今もアメリカの支配下にあるように、独立国とはいえモンゴルの背後にはロシアの巨大パワーがあるのだと考えさせられました。

この後いよいよノモンハンへ近づいていきます。以下は「中国新聞」に寄稿した記事です。

戦勝を祝う国、記憶を消す国(中国新聞掲載)

<以下へつづく>

スターリンの子分である独裁者の名を冠したチョイバルサン市