2023年10月から技能実習生として来日した25歳のモンゴル人男性ニャム君(仮名)の、これから始まる3年間をここで時々レポートしていきます(彼の職場に関する情報は一部内容を改変して書いています)。
私がこれまで知り合ったモンゴル人技能実習生たちの中には、「職場ではほぼ休みがないけれど特に問題なくやっている。3年間が終わったらまた日本に戻って働きたい」と前向きに語る20代男性もいれば、「高齢者施設で毎日排泄物の世話をする仕事がキツすぎて途中で辞めた」と語る20代の女性も。
良い話も悪い話も聞くので、技能実習生がなぜ来日を希望し、実際は日本でどのような仕事や生活をしているのかずっと気になっていました。あくまで一例ではありますが、ニャム君のケースを通じて見ていきたいと思います。
ニャム君はなぜ技能実習生になった?
私がニャム君と知り合ったのは今年7月のPLAYTIME会場でした。共通の友達から「この秋に彼は日本に行くからぜひ知り合ってほしい」と紹介されたのです。
背の高いニャム君はガツガツ系の性格ではなく、心優しい穏やかな青年。日本語はまだ挨拶程度しかわかりません。
彼が技能実習生になろうと思ったきっかけは、今年の初夏に友人から「日本で仕事できるモンゴル人を探しているらしいんだけど興味ある?」と誘われたこと。「僕はモンゴルで宴会場キッチンのバイトをしているんですが、フルタイムの仕事ではないので給料が少ないんです。海外で働くことに前から関心を持っていて、去年はアメリカで仕事(掃除)をする説明会に参加しました」とニャム君。しかしアメリカはモンゴルから遠いので気が乗らず、そんな矢先に技能実習生の話が来て即決したそうです。
モンゴル人は海外に行って働くことに抵抗がなく、良いチャンスがあればすぐ決める。どんな仕事内容や職場環境なのか、先に働いている人はどんな感想を持っているのか、ちゃんとお金はもらえるのか、大変じゃないだろうか……などといちいち調べないそうです。
ニャム君の技能実習生ビザがおりたのが9月半ば。それから飛行機の手配をして、10月上旬に初めて日本へやってきました。
最初の1カ月はアパートで仮暮らし
ニャム君と私はメッセージのやりとりをずっとしています。来日前に「何の会社でどんな仕事をするの?」と私が尋ねると「わからない」との答え。そして来日後は千葉県のアパートで彼を含めて6人のモンゴル人が一緒に暮らしながら、研修期間を過ごしていました。その時期は「近所のコンビニ以外は遠出しないように」と会社の人から言われていたようです。
1カ月後、いよいよ仕事がスタート! そのタイミングで職場からほど近い東京北区にある別のアパートへ引っ越し、ワンルームで彼を含め3人のモンゴル人と現在同居しています。先輩のモンゴル人からは「日本人からいじめられるかもよ」と脅されたそうですが、さあどうなる……!?
仕事は月曜日から土曜日、朝7時から夜6時(残業があればもっと遅くなる)頃まで。休みは日曜日。職場は建物の塗装をする会社で、今は社内で作業していますが今後は現場で塗装作業にあたる予定。「高所は平気だけど、日本の夏の暑さはヤバいと聞いているからそれが怖い」と笑っていました。
スマホのSIMカードを買いに
私は数日前に日本でニャム君と初めて会えました。「モンゴルから持ってきた中国製スマホに日本の携帯番号をつけてWifiが使えるデータも契約したい。自分だけではできないので、携帯ショップに一緒に行ってくれませんか?」と頼まれたためです。
ニャム君が住む駅にはショップがないので、私たちは数駅離れたところにある楽天ショップへ。1カ月で最大でも4000円くらいのプランを選び、SIMカードを入れたら無事に使えるようになりました。彼は在留カードとパスポートを持っていて、本人名義で申し込みができました。
しかし問題は支払い方法。モンゴルで作ったVISAのクレジットカードを持っていますが日本では使えないらしく、会社の給料振り込みのため作ったゆうちょカードも使用不可。理由は、ゆうちょカードを作るときに登録した電話番号が本人のものではなく会社の番号だからだそうです。とりあえず私のクレジットカードで支払いの登録をして、今後彼自身の名義のカードに切り替える方法を探そうということにしました。
手続きが終わったあと、近くにあった食堂でご飯を食べました。毎月の給料を聞いてみると手取り13万円で、家賃や光熱費は全て会社負担、食費や生活費は自己負担だそう。額面で17〜18万円くらいでしょうか。
お正月は1週間の休みがあり、どう過ごそうか考えているそうです。「モンゴルにはまだ帰らないよね?」と聞いたら「さすがに来たばかりで帰れないよ〜(笑)。誰か暇な人いないかなあ」と話していました。ニャム君の技能実習生期間、残り2年10カ月!
<つづく>