コロナで中止になっていた「わんぱく相撲全国大会」が今年ついに開催されます! 両国国技館で行われる全国大会(10月29日)に出られるのは、各県の地方大会を勝ち抜いた小学4、5、6年生の力士たち。県ごとに1学年1人の代表選手が全国大会へ出場できます。
元横綱白鵬関が主催する白鵬杯は国際的な大会で、モンゴルやロシアや韓国や中国やアメリカなど数カ国から代表チームが参加しますが、わんぱく相撲に参加する外国チームはモンゴルのみ。もともとは日本の子どもだけの大会でしたが、主催のJC(青年会議所)のわんぱく相撲実行委員会の方々の尽力で、数年前からモンゴルチームが参加するようになりました。
そのためには当然、わんぱく相撲モンゴル大会が行われないといけません。昨年は中止でしたが、今年はモンゴル国内の5つの県で地方大会が行われ、そこで勝ち上がった選手たちによるモンゴル全国大会が6月5日にウランバートルで開催されました。
普通なら地方大会では各学年1人ずつの横綱が決まり、彼らが全国大会へ進みますが、今年モンゴルチームからは各学年2人ずつの代表選手が選ばれ、10月は合計6人の生徒が来日するそうです。
こちらが今年の代表者! なんと6人のうち5人が、バヤンホンゴル県のバヤンホンゴル村にあるモンゴル総合生協学校の相撲クラブの子どもたち。真ん中にいるのが指導者のガンホヤグ先生です。
そもそもモンゴルの西の田舎にある小学校に、日本式の相撲クラブがあるワケは……?
モンゴル総合生協学校が、大分県の有志の方々の寄付で建てられたことに起因しています。大分県には大分バヤンホンゴル交流協会という組織があり、36年前から両県の交流が始まって、その過程でバヤンホンゴル県に学校が建てられました。コロナになる前は毎年10人くらいの生徒が互いの学校を訪問しあい、交流を重ねていました。
モンゴル総合生協学校の相撲クラブの指導者であるガンホヤグ先生は、普段体育を教えています。彼はこの学校ができたときに、日本の学校だから何か日本らしいことをしたいと相撲クラブを作りました。教え方がわからないので、最初は日本の大相撲の中継を見ながら見よう見まねで指導していたそうです。お金がないので土俵は手作りのビニール製。毎日放課後になると、男の子も女の子もこのクラブに来て練習しています。
ここの相撲クラブを卒業した一人に、将来大相撲の人気力士になるであろうソソルフー・アルタンゲレル君がいます。遊牧民の家庭に生まれ育ったソソルフー君はこの学校に通って相撲と出会い、小学5年生のときにわんぱく相撲の代表で初来日しました。白鵬杯にも出て優秀な成績をおさめ、白鵬関の目にとまり、13歳からは鳥取西中学校と鳥取城北高校に相撲留学中。近いうちに白鵬関が部屋を開いたら、外国人枠にソソルフー君が入るはずです。
ソソルフー君が大相撲の世界に入ったら、きっと2年くらいで幕内に駆け上がり、一気に横綱を目指すのではないかと思います。そして今は「ソソルフーお兄さんのように自分も日本へ行きたい」と、小さな後輩たちも日々練習を頑張っているそうです。