※ 本記事は2021年時点でのものです。最新の平均給料のデータは以下をご覧ください。
ウランバートルの不動産会社でOLをしている女友達と昨晩電話で話したら、「モンゴルは給料が少なくて大変。 毎月4万円くらいだから全然生活できないの」と嘆いていました。しかも彼女の会社はベンチャーで毎日23時頃まで残業があり、日本にいたときよりも長時間働いています。
じつは彼女、昨年まで日本へ出稼ぎに来ていました。神奈川県の大手コンピューター会社で派遣社員として2年間働いたのちにモンゴルへ帰国したのですが、日本では月収が手取りで20万円ぐらいだったそうです。彼女は30代後半で小学生の息子さんが2人いるママ。モンゴルに旦那さんと子どもを残して単身赴任で日本へ来ていたんです……タフですよね。
当初の計画では、後で家族も日本へ呼び寄せるつもりでした。しかし家族3人のビザがなかなかおりず、夏休みもコロナの影響で里帰りできず、長期的に家族と離れているのが辛くなって故郷へ帰る決意をしたそうです。今ようやく家族一緒に暮らせる生活に戻って一件落着なのですが、「給料面だけはキツい」とのこと。
下図のCEICのデータによれば、モンゴル人の一般的な月収は400〜500米ドルぐらいで横ばいに推移しています。現在の換算レートだと4万6000〜5万7000円です(注:2021年末時点)。
*注:2023年6月時点のCEIC統計では、モンゴル人平均月収が545米ドルに上昇しました。2023年の為替レートでは、平均月収約7〜8万円ということになります。
その友人の旦那さんも同じ不動産会社で建設作業員をしており、夫婦あわせて月収約8万円。しかしモンゴルは物価がどんどん上がっていて、税金も高く、ほとんど生計が成り立たないそうです。世界的に値上がりしているガソリン代も然りで、車が不可欠のモンゴル人を苦しめています。また昨年から中国-モンゴル国境のザミンウードがコロナの影響で閉じていて食料品などの輸入が滞っていることも、インフレに拍車をかけています。
「じゃあ実際、どうやって飢えずに暮らしているの?」と私が聞いたら、彼女は言いました。「モンゴルでは両親や親戚など家族がそばに住んでいることが多いから、お金に関しても子どもの世話に関しても支えてもらっているの」
さらにこう言いました。
「給料が上がる見込みがないから、モンゴルではみんな自分でビジネスをするのが当たり前だよ。私も数年前から旦那と一緒にTシャツにシルクスクリーンでプリントして販売していて、他のビジネスの機会もいつも探している。そうしないと生きていけないから。だから日本へ出稼ぎに行ったのよ」
私の肌感覚だと、日本人よりモンゴル人のほうが独立心が強く、起業する人が多いと感じますが、その裏には切実な経済事情もあるようです。
追記(2023年5月20日)
最近、在日モンゴル人たちから「日本は給料がそんなに高くないけれど物価は高くて生活が大変」「もはや日本は働きに行くべき国ではない、出稼ぎに行くならオーストラリアを選んだほうがいい」といった意見も聞くようになりました。
追記(2023年10月12日)
最新のCEICの統計によると、モンゴル人の平均月収は2023年6月時点で545米ドルだそうです。現在のレートで換算すると8万円を超え、この記事を書いた時点からかなり上昇しました(円安の影響もあると思われます)。