あなたはARA派? Playtime派? vol.1

ナーダム前の恒例行事、モンゴル最大の音楽フェスPlaytimeに初参戦したときに私が受けた第一印象は、肌が白くてオシャレで露出度の高い若者がいっぱいだーー!

そして今年7月17〜18日、アルハンガイ県で開催されたARA Fest。会場を初めて訪れて思ったことは、日によく焼けた家族連れがいっぱいだーー!

Playtimeには20年ほどの歴史がありますが、ARAは3年前にスタートした新しい音楽フェス。この夏、ウランバートル在住の若者たちが「PlaytimeじゃなくてARAに行こうかな〜」なんて話すのを何度か見聞きしました。ARAとは一体どんなイベントなのでしょうか?

ARAの名前は、開催地のアルハンガイ県が由来。ウランバートルを出て西へ車で7時間ほどの遠さです。ウランバートル郊外にある大型スーパーマーケットで、まずは買い出し。

8人の仲間と2台の車に分かれて出発したのですが、途中で2台が別々の道を走っていることに気づき、「なんか違う方へ行ってない!?  エルスン・タサルハイでランチを食べる予定じゃなかった?」「そっちが別の方へ行っちゃったんだよ!」「そっちが誤ったんだよ。 道を知らないならGoogle Map見て走って!」といきなりピリピリしたやりとり。田舎なので電波が1本になったり消えたりして、やがて音信不通に……。初っ端から予定通りに行きません。

モンゴルの田舎ではおなじみ、道路沿いで営業するゲルの食堂。牛が占拠(笑)。

ふう、やっと着いた!「アルハンガイ100」と書いてありますが、ここに限らずモンゴル全土で、今年100周年を迎えた郡や県がいくつもあります。今から100年前といえば、ボグド・ハーン政権が幕を閉じ、ソ連の衛星国であるモンゴル人民共和国が始まった時期。歴史を感じます。

なんだか煙たいと思ったら、そばでゴミを焼却中。 あたりは冬のウランバートルのような大気汚染状態で、アルハンガイまで来たのに……と仲間たちも絶句。幸い、翌日から煙は消え、澄んだ草原の空気に戻りました。

会場の背後にゲルキャンプ場があり、お金を払えば泊まれますが、私たちはさらに奥のテント場へ移動してテントを設置。すでに日が暮れていたので、初日は会場に入らずテントで過ごしました。

翌日。こちらが会場の入口付近。

右側のポスターは、私たちが到着した夜に開催されていた女性アーティスト限定のイベント。ARAはなんと1ヶ月にわたり続き、日がわりで音楽のジャンルが変わります。4日間にわたり、複数ステージで多種なアーティストが同時に出演するPlaytimeとは異なり、ARAの舞台はメインステージだけ。シンプルです。

数日前に行われた海外DJのイベント。

モンゴル・カントリー? カントリーミュージックのこと? ラッパーのYoung Mo’Gも出るらしい。

1ヶ月間のスケジュール。25〜26日のHip Hop FestivalにはKAやDeesantの名前も。見たいなあ!

青空タトゥー・コーナーでは、誰かがガリンガリンと彫っていました。

人もまばらで、まだこれからという感じ。冒頭にも書きましたが、おそらく地元の人と思われる家族連れが多く、服装も雰囲気もPlaytimeに比べてリラックスムード。一緒にいた女友達が「ARAは服装がダサくてもソワソワしなくていいから、楽でいいわ!」と話していましたが同感。

右にいるのは会場で遭遇した友人のイラストレーター、ヨージ。彼の仲間もみんな長髪。

肉を運ぶ人たち。出店者でしょうか?

落ちた! 彼らの向こう側にあるテントは有名ビールブランドのセングル。今年のPlaytimeでもARAでもメインスポンサーになっていて、業績が好調なのでしょうか。

というわけで、ARA会場で飲めるアルコールは基本的にセングル一択。この点、Playtimeはビールやカクテルや果実味の韓国焼酎などアルコールの選択肢が多く、フード類もいろいろあって、充実のラインナップでした。

子ども向けの店も。家族連れで来て当然という空気が安心感を誘います。

アート作品がところどころに。

作者不明。

メインステージのあるスタジアム内へ潜入。

デスメタルバンドのARAVT。

デール姿の若者ちらほら。

SOMETHING’S BREWING。

18〜19日はロックの日で、Nisvanisのヴォーカルであるアムガーがプロデューサーから当日のMCまで担当。

人気バンドが続々。こちらはRECON。

絶対に逃したくなかったThe Lemons。今年のPlaytimeでは、彼らがメインステージではなくコカコーラ提供のステージで演奏し(コカコーラ広告に出演中のため)、お客さんが多すぎて何も見ることができなかったのですが、ARAではバッチリ見られました。

みんなThe Lemonsが大好き! 明るい気持ちにさせてくれる本当に素敵なバンドです。

このあとはThe Royal Heartacheで、ドラムはThe Lemonsのウージギーが続投。The Royal Heartacheのベーシストのオユカは、昨年までThe Lemonsで代打ベーシストとして活動していたので(今年からオリジナルメンバーのアムラと交代)、ふたつのバンドのメンバーが舞台上でスイッチする際にアイコンタクトで微笑み合い、なんかいいなあと思いました。

芝生のうえで酔い潰れる人も……。

熱くなる人も……。

ゴミも……。

ルフィーも……。

おなかがすいて徘徊。

真夏とはいえ、寒い夜の身にしみるゴリルタイ・シュル(肉うどん)。

いちばん見たかったNisvanis(ニスヴァニス)。時間がおして深夜3時でしたが、寝ないでよかった! すごくよかった! The Lemonsヴォーカルのオドノーとも公私で仲の良いアムガー兄貴率いる、モンゴルの王道ロックバンドです。歌はロックでパンクですが、アムガーの温かい人柄が滲み出ていて感動。心が興奮状態に!

このあともうひとつバンドが続きましたが、The LemonsとNisvanisを見られたのでもう大満足。友人たちとテントへ戻って就寝……。

<つづく>

音楽も酒も恋も大自然に溶けていく真夏の”PLAYTIME”