世界各国でも報道されていますが、今モンゴルで若者を中心とした市民による抗議デモが続いています。場所は政府庁舎の目の前にあるスフバートル広場。
デモが始まったのは12月4日。きっかけは、モンゴルの石炭を政府関係者などがこっそり中国へ売って儲けている、という情報が出たことでした。積荷が「空」と登録されたトラックがモンゴルから中国国境に過去何台も出入りしていて、実はそこに(秘密で)石炭が積まれていたという疑惑が上がっています。関わっているメンバーは数十人いるようで、具体的に誰なのかはまだ公表されていません。
モンゴルでは苦しい経済状況がずっと続いていますが、特にコロナ禍以降は市民の生活が相当キツくなっていました。「物価は上がり続けるのに給料は上がらず、税金は高く、もう本当に生活の限界」と私の友人達も話していました。以前からモンゴル国民は、腐敗の蔓延る政治家達に対し不満を口にしていたものの、今回に至っては「あり得ない! もう無理!」とブチ切れている状態です。
若者たちは連日スフバータル広場へ押しかけ、マイナス20度前後の屋外で「石炭泥棒の犯人がわかるまで引き下がらない!」と訴えています。ちなみにデモを最初に呼びかけたリーダーが誰なのかについて、日本在住のモンゴルの友人やモンゴル在住のジャーナリスト達に尋ねましたが、「特にいないと思う。Facebook上のグループで自然発生して盛り上がったようだ」というのが彼らの意見でした。
こちらはFacebook上のお母さん達のグループ。赤ちゃんを連れて極寒の広場へ来ています。現場へ行けないお母さん達も、Facebook上で彼女達を応援して連帯意識を持っています。
別のある女性は、長い髪の毛を聴衆の前でバリカンで剃りながら「生活が苦しくて子供が飢えてしまうから、シャンプー代を節約するためにこうして髪を切るのよ!」と訴えました。
馬に乗った遊牧民も駆けつけました。
こちらは日本語のプラカードを持った男性。彼のように、世界に向けて、外国語のプラカードやライブ配信をしてモンゴルの内情を訴える人もいます。
こちらはオーストラリア在住のモンゴル人からの応援メッセージ。「海外在住の私たちもモンゴルで良い暮らしを送りたいです!!!!」
デモが5日目に突入したあたりになると、海外にいるモンゴル人達が「応援の気持ちを込めて、現地で頑張っている同胞に温かい飲み物や食べ物を届けよう!」と、寄付を募るケースも見られるように。この写真は、韓国在住のモンゴル人女性達が温かいミルクティーを寄付している場面。
現在日本在住のモンゴル人達もFacebook上で呼びかけ合い、寄付を集める動きが進んでいます。そのお金は、広場にいる同胞に温かい食べ物や飲み物やマフラーを買うために使われるそうです。
今年の4月に同じ広場で行われた「政治家は仕事しろ!」デモよりも、今回の方が参加者の思いがさらに熱く、「もう我慢できない」「泥棒達の名を暴くまで我々は終わらない!」とヒートアップしています。俳優がデモに連日参加していたり、人気ラッパーが「今後自分は政治に関わらないと約束するよ」とSNSで表明したりもしていました。
続報があればまた別記事で書きます。