絵本作家のボロルマーさんとガンバータルさん夫婦による「草原と海のものがたり展」に行きました。
ところで、展示タイトルにある「草原」はわかるとして、なぜ「海」なのでしょうか? 友人でもあるボロルマーとガンバーに尋ねたら、今回の展示は彼らの個展であることに加えて、日本モンゴル外交樹立50周年の記念イベントという意味合いもあるためだそうです。
私は初日のオープニングイベントに行きました。会場はボロルマーたちが毎年個展を開いている表参道ピンポイントギャラリー。中に入ると、白く細長い屋内にボロルマーとガンバーらしい素敵な世界が広がっていました。
これは「フビライハーンの元寇船」というボロルマーによる水彩画。今回の展示で私がいちばん気に入ったのがこのパワフルな絵でした。もともとは絵本『モンゴル大草原800年』に収録するために描かれたもので、結局絵本には別の元寇の絵を載せることになってカットされたそうです。あの大作絵本の裏には、こんな素晴らしい「ボツ作品」もあったことを初めて知り、本当に気の遠くなる大仕事だと思いました。
今回の展示で私がとくに気に入った絵の一つ、ガンバーの作品「兄弟」。
絵の枠をはみ出して額縁の余白にも描くのが、ボロルマー流の楽しいスタイル!
こちらはガンバーの「こんにちは」というかわいい作品。会場にいた私の友人がその場で購入!
ボロルマーの作品「19世紀」。
これらは今回の展示のために作られたオリジナルバッヂの原画。ボロルマーたちと一緒に絵本を作ってこられた翻訳家の津田紀子さんが、バッヂやオリジナル便箋やハンコなどの素敵なグッズを制作してくださいました。
これは社会主義時代のウランバートルの街を描いた絵。建物の裏に集まった若者たちがこっそり西側の音楽ビートルズを聞いて楽しんでいたり、スパイがいたり、細部まで当時の状況が再現されている興味深い一枚です。絵本『モンゴル大草原800年』に掲載されています。
19時からオープニングイベントがスタート! バッヂジャルガル駐日大使も来場予定でしたが、モンゴルの環境大臣が来日されたためこの日は欠席。駐日モンゴル大使館のツェレンジャルガルさんが代理で大使のメッセージを読み上げました。
ボロルマーとガンバーを長年サポートされ続けている、絵本作家の長野ヒデ子さんからひとこと。ボロルマーたちは一時期、鎌倉にある長野ヒデ子さんのお家に住んでいたこともありました。手元に写真がないのですが、他にも福音館書店の編集者の方々、翻訳家の津田紀子さん、モンゴル民族文化基金のガンドゥシさんなどが挨拶されました。
内モンゴル出身の馬頭奏者ウルグンさんが、ボロルマーとガンバーの出身地である西モンゴルの曲、「メロディー」という曲、日本の「荒城の月」の3曲を演奏されました。心地よく反響して、素晴らしい演奏でした。
ボロルマーとガンバーはこの個展のために、毎日明け方まで仕事をしていました。ふたりともすごくハードワーカーで、だからこそこんなに素敵な作品を生み出し続けられるのだろうと思います。無事に大成功、おめでとうございます!