モンゴルの友人家族と一緒にゴビへ車で向かっていたときに、面白いしきたりを目撃しました。
草原を走り続けて2日目、同じ車に相乗りしていたおばあさんが「ここで車をとめて! 私が生まれたところなのよ」と突然さけびました。車がとまると、おばあさんは嬉しそうに民族衣装のデールを脱いで肌着(生まれたときに近い姿)になり、息子さんに支えられながら車を降りました。
そして草原の上でしゃがみ、ゆっくりと3回でんぐり返しをしたのです。
私があっけにとられて見ていると、友人が説明してくれました。
「自分が生まれた地点で3回まわると、1年間健康でいられるんだよ」
3回まわり終えて車にふたたび乗りこんだおばあさんは、ニコニコ嬉しそう!
その話を、日本で活動するホーミー&馬頭琴奏者のボルドエルデネさんにしたところ、「そうなんですよ」とご自身のエピソードを教えてくださいました。
ボルドさんは数年前、肝臓を患っていたお父さんを故郷のドルノド県に連れて行ってあげたそうです。そしてお父さんが誕生した地点で3回でんぐり返しをした後、ぐんと元気になったので、ボルドさんも驚いたそうです。