Mongolian Economy(2017年6月発行)に掲載
モンゴルツーリズムにとって待望の夏がやってくる!
モンゴル政府は2020年までに観光客数を年間100万人にするという目標を掲げていますが、The World Bankによれば、2016年の観光客数は40万4000人でした。2012〜2015年までは年々減る傾向にあったものの、2016年は前年の38万6000人から4.6%増えています。
私はこれまで、モンゴルの草原にいつか行ってみたいと話す日本人にたくさん出会いました。でも中には「遠くて行くのが難しそう」と言う人も。実際は成田から直行便で5時間と近いのですが、情報が少ないので遠い秘境のようなイメージを持たれやすいのかもしれません。
いっぽうで、モンゴルに行ったことがあるという日本人にもけっこう出会います。彼らにモンゴル旅行の満足点と不満足点を尋ねると、だいたい共通した答えが返ってきました。
満足
・ 乗馬体験
・ 満点の星空
・ ゲル宿泊
・ 民族音楽鑑賞
・ 素敵なモンゴル人との出会い
不満足
・ 航空チケットが高い
・ 一部の施設やサービスの質が低い
・ スリが多い
・ 道路を横断するのが怖い
・ 学生アルバイトのガイドが頼りない
満足にあがった項目には私も同感だし、不満足の項目も思い当たる体験があります。
以前ウランバートルで4つ星のホテルに泊まったとき、マイナス35度の真冬なのに、シャワーが冷たい水しか出ませんでした。同じホテルで、友人から食べ物を預かって大きな冷蔵庫が必要になり、フロントに保管してもらったら、翌日受け取ったときには量が半分に減っていました…。街では、スリ被害に3回あったことがあります。
でも、個人的に一番改善してほしいのは航空料金です。毎年東京からウランバートル行きの往復チケットを購入しますが、どんどん料金が上がっています。とはいえハイシーズンは座席がすぐなくなってしまうので、買うのを躊躇していられません。
8月の夏休みを前に、日本の人たちは今年の旅の行き先を考えています。ある大手旅行会社で4日間のフリープランツアー費用(往復チケットとホテル宿伯のみ)を比べてみると、韓国240ドル、タイ430ドル、香港470ドル、モンゴル1300ドル。モンゴルはタイよりも距離が東京から近いのに3倍も値段が高いのです。旅行会社に理由を聞くと、「モンゴルは直行便の数が少ないので、座席確保のために航空券代が高くなる。だから結果的にツアーの値段が高くなる」とのことでした。
もしモンゴルツアーが430ドルだったら、モンゴルを選ぶ日本人は格段に多くなるはず。訪れて気に入れば、また再び訪問する可能性も大です。とくに若者は安い旅行先をいつも探しています。最近では、東京や大阪の都心部でトルコ航空やイベリア航空の格安航空券の広告を頻繁に目にします。
ウランバートル市内のホテルも、他の海外都市に比べると決して安くはありませんが、宿泊に関してはまだ選択肢が色々あるもの。しかし飛行機の場合は、時間に余裕があれば乗り継ぎが必要な別の航空会社も選べますが、直行便は他に選択肢がありません。
ANA(All Nippon Airways Co., Ltd.)の相談役の大橋洋治さんが4月の日本経済新聞で「東京〜モンゴル間を含め、将来ANAが新しい路線を広げていけたら最高だ」と話していました。公式の予定はないものの、もしそれが実現すればMIATモンゴル航空の独占状態が崩れ、航空会社間の競争が生まれて価格が下がることを私も周りの友人たちも期待しています。
ところで、個人的に印象づけられたモンゴルの魅力はたくさんあります。たとえばウランバートルの道でスマイルする100個以上のマンホール、ミラーボールのような満月の下で踊った夜の草原ディスコ、赤ちゃんが羊のしっぽをしゃぶる習慣、そして何よりモンゴル人のダイナミックなキャラクター!
モンゴルが身近で魅力的な国であるという宣伝がもっと多くの人々に届いて、航空券の値段が下がれば、100万人という目標達成に日本人旅行者がかなり貢献すると思います。