私が目撃したモンゴル「新世代型デモ」9日間(+12日間)vol.2

若者たちが「辞めるのは簡単!」と辞任を要求している相手は、モンゴルのオユンエルデネ首相です。

この画像は大手ニュースサイトiKonのSNSのストーリーをスクリーンショットしたもので、右側の男性はオユンエルデネ首相の息子さん、左側は彼の婚約者の女性。発端は、婚約者の女性がInstagramに投稿した内容でした。

彼女の誕生日に首相の息子さんは、ウランバートル市から400km離れた高級リゾート施設へヘリコプターで連れていき、そこで花火を打ち上げるという演出つきでプロポーズしたとのこと。それとは別に、メルセデスベンツの高級車やシャネルのバッグを彼女にプレゼントしたりも……。人びとが「バッグ」の話をしていたのは、このためでした。

オユンエルデネ首相は1980年生まれの44歳で、この息子さんと婚約者はまだ20歳を超えたぐらいの若さです。このInstagramが一気に炎上しました。

「20歳そこらの若者が、なぜこんな莫大な金を持っているのか? 親である首相からもらった金ではないのか? しかしモンゴルの政治家の給料は(公式的には)そんなに高いわけではない。国民の税金を使って贅沢三昧しているのではないか!?」

5月16日〜18日、1年に2回広場で開催されるブックフェスティバルに私は初めて出店し、3日間広場のテントに常駐していました。夕方になると、国会議事堂の方から「オクツロホ・アマルハン! オクツロホ・アマルハン!」のシュプレヒコールが風にのって聴こえてきました。

私たちのブースの目の前に詩人のバトザヤさんたちのブースがあり、そのブースにも「「オクツロホ・アマルハン」の文字が。ブックフェスティバル期間中、デモで自由についての詩を読むというコーナーもあり、そこで詩の朗読も行ったようです。

ブックフェスティバル最終日の夕方には、デモ隊がフェスティバル会場内をぐるり一周する光景も。ここでもノーロクのオラムサイハンさんが指揮をとり、若者たちを率いていました。

国会議事堂の方へ行ってみると、署名を集めていました。この時点で、リアルな署名とオンライン署名あわせて4万件ぐらいだったと思います。

デモ初日より人数が増えています。

このデモは、リーダーでも著名人でもない一般市民がマイクを握り、自分の思いを聴衆に語ること。持ち時間は5分ずつぐらいで長くないのですが、自分の意見を人前ではっきり主張するというのが、モンゴルらしいデモだと感じました。共感すれば拍手が起き、デモ参加者たちに一体感が生まれていきます。

聴衆は地面に座り、終始じっと耳を傾けていました。オラムサイハンさんは前に立って仕切ることが多く、彼の背中を見ると、反逆の詩人レンチニー・チョイノムの絵が。

7時になり、ブックフェスティバル終了の時刻。片付けるためにブースに戻ると、こちらはデモとは別世界。

国立デパートの前ではギターを弾く外国人男性が。広場を出ると、デモの雰囲気は影も形もなくなり、いつものウランバートルです。

(続く)