「DIGITAL×NOMAD」モンゴルのICTスタートアップ8社が東京でピッチ!

2023年6月27日の夜、JICA主催の「DIGITAL × NOMAD 〜MONGOLIAN STARTUP PITCH IN JAPAN 」へ行ってきました。

会場は渋谷駅前のShibuya QWS スクランブルホール(スクランブルスクエア15階)。

新しい商業施設のなかにあるスタイリッシュな小ぶりのホールで、このイベントにぴったりの場所でした。窓から見下ろした景色。

冒頭でモンゴル・デジタル通信開発省大臣の挨拶が終わったあと、モンゴルのICTスタートアップ企業8社のプレゼンが始まりました。1社あたり10分ほどの持ち時間で、代表者が登壇しパワポ資料を見せながら話します。

参加した8社はこちら。

トップバッターのAND Solutions。すでに12カ国にビジネス展開しており、日本に留学経験のある社員も複数いて日本でも仕事しているそうです。メディアに取り上げられることもあり、モンゴルのスタートアップのなかで最も期待されている企業の一つではないでしょうか。

聞き手は、あらかじめ参加申込をしていた約100名。IT関連の企業で働く日本人やIT関係の仕事をしている在日モンゴル人の姿が多い印象でした。参加した日本人は、プレゼンを行った代表者の流暢すぎる日本語や話のわかりやすさに圧倒されたのではないかと思います。

こちらはGERGE SYSTEMS。英語で行ったプレゼンはすごく流暢で、話の内容も的確。

8社すべてのプレゼンを聞いて思ったのですが、2011年以降に私が東京で参加してきたモンゴルの経済セミナーやイベントのなかで、今回ほど実のある有意義なイベントはなかったかもしれません。8社に共通していたのが、プレゼン能力と言語能力の高さ、社員の若さ(社員数はだいたい20人前後という点も共通)、話のわかりやすさ、行動力の速さ、エネルギーの高さ!

スライド資料もとにかくシンプルで明確。デザインも良かったです。たとえばこちらのHigh Payment Solutions

こんな感じで見やすくてデザインもいいのです。

どのスタートアップも話の構成は、1. 事業内容と実績、2. 会社設立から現在までの歴史、3. チームメンバーの紹介、4. 今後のビジョン、5. これまで集めた投資額、6. いま日本企業に求めていること(いくら投資がほしい、提携したいパートナーシップなど)。短い時間のなかでテンポよく話し、婉曲的な表現がなくメッセージが明確で、聴衆からも質問の挙手がけっこうありました。

この場にいた日本人は、8社のビジネスアイデアや実績に関心したのではないかと思いますが、それ以上に、プレゼンを行った代表者たちの能力と熱量に圧倒されたのではないかと思います。

あるスタートアップに関しては、ビジョンが楽観的すぎて、聴衆(欧米系のIT関係者)から「モンゴルではあなたたちのアプリが上手く広められたかもしれないけれど、日本は人口が多いからってそんなに甘くない。どうやって日本の教育界に自社のアプリを採用してもらうか、具体的な考えはあるのかないのか?」と質問で突っ込まれていました。確かに、「モンゴルでやったことを人口の多い日本で実行すれば大きなマーケットが得られる」と安易に考えている印象を持たれそうな企業もありました。

とはいえ私がつくづく思ったのは、モンゴルがICT分野を強みとして海外へアピールするのはとても良いということ。そしてモンゴルの優秀かつ心身タフな若者たちこそが、モンゴル最大の資源であるということ。彼らの意欲や能力をフルに生かして発信することで、海外にモンゴルの現実的な魅力を印象づけられるのではないでしょうか。

投資家向けのモンゴル経済セミナーでは、「2011年に世界一のGDP成長率約17%を記録」や「日本大使館主催のアンケートによると、モンゴルが最も親しみを抱いているのは日本」というポイントが強調されることが多いですが、どちらもすでに10年以上昔の話です。

しかし今回のイベントでは、ICT分野で実際にビジネスしている優秀な若者が前面に出て各々自由にプレゼンしたことで、フレッシュさやアグレッシブさやスピード感が聞き手に直に伝わりました。このイベントをきっかけとして、実際に日本企業が彼らに投資を提供したのか、ビジネスのパートナーシップを結ぶことになったのかは、後追い取材していないのでわかりません。

少なくとも来場した日本人はモンゴルに対するイメージが良い意味でぶち壊されたはずで、モンゴルの存在感が今後も頭から離れないと思います。