「iKon.mn(アイコン)の記事にあなたの撮った写真が出ているよ」と、先ほど人から教えてもらい知りました。
iKon.mn「バヤンホンゴル県から4人、首都から1人の選手が日本の子ども相撲大会に出場」
確かに私が撮った写真が知らないうちに使われていたのですが、クレジットを入れてくれていたので、自分としては問題ありません。わんぱく相撲大会にモンゴルからはるばるやって来た選手たちの奮闘ぶりが、モンゴルの人気メディアサイトで紹介されてむしろ嬉しいです。
ただ、記事の内容が一部間違っていました。モンゴルの地方大会に出場した子どもの数は120人ではなく1300人です(笑)。
モンゴルのメディアでは著作権の概念がゆるい
余談ですが、数年前にモンゴルのテレビ番組で、私が撮ったわんぱく相撲の写真がクレジットなしで勝手に使われていたことがあり、モンゴルとはいえちょっと驚きました(画像にクレジットを入れていなかった自分の責任です)。モンゴルのメディアでは、著作権に対する概念が日本よりかなりゆるゆるです。
そして、正確さを求めるレベルも日本より低いです。かつて私はモンゴルの経済誌に2年間ほど寄稿していたことがあるのですが、原稿を送った後に著者校正(原稿をレイアウトしたものを、書き手が改めて問題がないかチェックする作業)をするチャンスがなく、雑誌の発売日はいつもハラハラしていました。
この「ハラハラ」について……。日本の出版業界では、完成した雑誌や本にたった一文字でも誤植が見つかったらガックリします。そして増刷する際に、その誤植を直した上で印刷し、限りなく完璧に近づけようとします。
「限りなく完璧に近づけたい」というのが、日本人の特性ですよね。日本では原稿を雑誌の編集者に送ってから、著者校正(1〜3回)や専門家による校閲などの工程を経て、紙媒体なら2〜3週間くらい、WEBなら1〜2週間くらいでようやく掲載されます。
ところがモンゴルのその経済誌の場合、月曜日に原稿を編集者に送ったら、同じ週の金曜日には袋詰めされて雑誌が書店に並んでいるのです、早!(笑)。ものづくりを慎重に行う日本では考えられない超スピード、カルチャーショックでした。
モンゴルの出版社が雑誌や本をあっという間に作ることができる大きな理由は、著者校正の工程がないだけでなく、自社内にデザイナーと印刷機を抱えている出版社が多いためです。日本の場合は、著者と出版社の共同作業で原稿を完成させたら、社内または社外のデザイナーにレイアウト作業をしてもらい、そのデータを印刷所へ納品して、ゲラ(完成後の紙面と同じレイアウトで紙に出力したもの)を印刷し、さらにゲラに赤字を入れて修正し、正式な印刷を行い、製本し、完成した雑誌や本を取次会社に納品し、そこからやっと書店へ配本します。
スピーディーなモンゴル式出版の良い点は、情報を新鮮なうちに出せること。悪い点は、激しい誤植や誤訳が発生することです。
ちょっとした誤字脱字ならまだいいです。私がモンゴルで経験したのは、見開きページの中央に大きくラーメンの写真が掲載されているはずが、その写真の右ページがなぜか真っ白く抜けていて、半月の形のラーメン写真になっていたこと(笑)。あるいは、原稿が途中でいきなり切れていて、再び最初から同じ原稿がダブって印刷されていたこともありました。一度でもゲラをチェックさせてもらえていたらこのミスを防げたのに、と当時は書き手として悔しく思いました。今では良い思い出です。
モンゴル人のライターや編集者は、激しいミスプリントがあっても慌てないものなのでしょうか? 今度聞いてみたいものです(笑)。