アメリカのマイク・ポンペオ国務長官が今週来日します。同じタイミングで韓国とモンゴルにも行く予定でしたが、そちらは中止されました。「トランプ大統領が新型コロナウイルス陽性となったため、日程を短縮した」という報道が多いですが、「中止理由は明らかにされていない」という報道もあります。
なぜ日本には来るのか?
今回の主要な来日目的は、10月6日に東京で開催される日本・アメリカ・オーストラリア・インドの外相会合です。この4ヵ国は全て海洋国家かつ民主国、そして中国の脅威に直面しているという共通点があります。
そこで4ヵ国が「クアッドプラス(Quad plus)」という安全保障協議体を結成し、軍事面や情報分析面で協力してインド・太平洋地域の安全保障を守ろうというのです。クアッドを最初に提唱したのは第一次政権時の安倍晋三元首相です。
「プラス」とあるのは、他のアジア諸国も巻き込んで強力な連帯を作るためです。しかし韓国は「他国の利益を排除してはならない」とクアッドの存在を否定。事前に中国から牽制されていたようです。
モンゴルの意思はまだ不明であるものの、ポンペオ国務長官が訪問をやめたので不参加だと思います。当然ながら、モンゴルも中国から釘を刺されているはずです。
モンゴルはこれまで、隣国の中国とロシアと仲良くしつつ、第3の隣国である日本やアメリカとも良好な関係を保つ「バランス外交」を行ってきました。しかし米中がここまで激しく対立してしまった今、それも今後は難しくなるかもしれません。
モンゴルは民主国とはいえ、中国の手前、クアッドプラスに加わることは厳しい。だからと言って、オブザーバー国の立場を貫いてきた「上海協力機構」に正式加盟すれば、一気に中国とロシア寄りになり、アメリカ側と距離ができます。理想はどちらにも正式加盟せず、中国側ともアメリカ側とも付きすぎず離れすぎずのポジションを保つことだと思いますが……。
ポンペオ国務長官は10月中に改めて韓国とモンゴルを訪問するという話も出ています。内モンゴルで現在起きている問題を世界にアピールするためにも、ぜひ実現してほしいです。