元日本留学生たちが国政に出馬

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<雑誌掲載記事の一部を掲載しています>

「将来モンゴルに帰り、政治家になって国を変えたい」

熱い瞳でこう語るモンゴル人留学生に出会ったことがある。1人ではない、何人も。日本で学び、就職して、社会経験をつんだら母国で出馬するつもりなのだと話していた。

私自身は自分が選挙に出るなんて考えたこともない。いつもふざけあっている友人の口からこういう話が出ると、同じ年代を生きる人間として刺激的だった。

国を良くしたいという思いがそれほど強いのは、現状が不安定であることの裏返しだ。社会主義時代が終わり、モンゴルが民主国として歩みはじめて約30年。4年ごとの国政選挙のたびに与党が入れ替わり、法律も人事もころころ変わる。政治家の賄賂や汚職の話題は尽きず、国民の政治不信は大きい。

モンゴルは人口が少ないとはいえ、優秀でエネルギッシュな国民がいて、世界最大級の埋蔵量を誇る資源大国でもある。地下資源に海外投資が集まり、2011年には世界トップクラスのGDP成長率17.3%を記録した。

それなのに、ひと握りの権力者たちが国の富を利己的に動かし使ってしまい、数年後にはデフォルトの噂も出たりして、なかなか安定的に発展できないのが悲しい。

そんな国の状況を見つめる若者たちが、10年後、20年後にリーダーになる時代がくるのが楽しみだった。

そして気づけば、もうそれぐらいの時間が経過したのだ。

来たる6月24日は国政選挙の投票日。モンゴルの国会は一院制の定数76議席で、今回は約700人が立候補している。このなかに、かつて日本へ留学していた青年たちが昨年立ちあげた「正義党」メンバーの14人も含まれている。

日本に留学するモンゴル人学生は年々増えており、昨年の統計で約3千人いる。モンゴル人はあまり人と群れないイメージがあるが、在日留学生は卒業後も学年を越えたネットワークでつながり、支えあっている。

彼らが組織的に活動する大きなきっかけになっているのが、東京都練馬区の光が丘公園で毎年5月に行われるハワリンバヤル(モンゴル春祭り)だ。2日間でのべ5万人が来場する大規模フェスティバルで、その年の現役留学生と日本人ボランティアスタッフが実行委員会をつくり、チームになって運営する。

新型コロナウイルスの影響で今年は中止になってしまったが、状況が落ちつけば来年また必ず開催されるだろう。1998年に始まったこの祭りは単なる一過性のイベントではなく、モンゴル人と日本人にとって、縁と心をつなぐ重要な場になっているからである。 …………

⬇️全文(残り約700文字)は月刊望星2020年7月号でご覧ください。