羊あっての衣食住

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シンジリーンメンドフルギー(あけましておめでとうございます)!

旧正月のモンゴルは元旦が年によって変わる。ことしは2月5日だったので、ちょうど新しい年が明けたばかり。正月は「ツァガーンサル(白い月)」と呼ばれる。

「白」はモンゴルで神聖さをあらわすピュアな色。ミルクの色でもあり、すべての始まりを意味する。まっしろい羊は穢れなきものの象徴で、正月料理に羊1頭のまる茹ではかかせない。テーブルにドンとうつ伏せに置かれた羊の姿はど迫力で、おしりの脂肪分がまるくぴかぴか光って鏡もちのようにも見える。

大晦日には家族みんなで、羊肉を小麦粉の皮で包んで蒸したボーズをおなかいっぱい食べる。幸せを包みこむという縁起をかついで、とにかくひたすら食べる。

そのため旧正月が近くなると、どこの家庭もせっせとボーズづくりに励む。ボーズは家の外に出しておけば、天然の冷凍庫ですぐカチコチになって保存がきく。冬のモンゴルは気温がマイナス40度まで下がる極寒地なので、外に出るときは気合がいる。

たいへんなのは寒さだけではない。毎年冬になるとウランバートルは世界最悪レベルの深刻な大気汚染にみまわれ、数十年前から大問題になっている。大気中のPM2.5(微小粒子状物質)濃度は北京の5倍。汚染がひどい地域だと数メートル先が見えなくなるほど空気がかすむ。

いちばんの汚染源は、ゲル地区(ウランバートル市郊外に広がるゲル集落)の住民が使う石炭ストーブの煙だ。セントラルヒーティングが通っていないこの地域では、暖をとるために夜な夜なストーブを燃やすので、朝になると空が灰色になってしまう。さらに車の排気ガスや、火力発電所からもくもく上がる白煙も有毒ガスを放つ。

盆地のウランバートルは空気が流れにくいことも汚染の要因で、気管支炎や肺炎をわずらう子どもが増えている。フェイスブック上でつくられた「煙に反対する父母たち」というグループには14万人もの市民が参加し、頻繁に情報交換をしあっている。

⬇️全文(残り約1000文字)は月刊望星2019年3月号に掲載されています。

東海教育研究所 http://www.tokaiedu.co.jp/bosei/koudoku.html